last scene day-77 :さぁ始めよう、自分が最も欲した解答を見出す旅路を










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day-77 :さぁ始めよう、自分が最も欲した解答を見出す旅路を






懐かしい記憶に重なるような、空には細く、雲が流れている。
見事に晴れ渡った空のもと、とハーマイオニーは先陣切ってホグワーツ特急を駆け降り、其の後を苦笑いを堪えながらマクゴナガル教授とロンが続く。
ハリーとドラコは、お互い視線は合わさず人ひとり分の距離は保ったものの同じ位置へ並んで歩き、其の後をダンブルドアとスネイプが歩いていた。
残念ながら、昨日遅くにハグリッドの世話していたユニコーンが子どもを無事に産み落とし、ハグリッドは生まれたての子どもの世話を言い付けられ一人留守番。
ハグリッドが来れないならば中止にしようかと提案しただったが、ハグリッドに一枚の紙を手渡された上で、「楽しんで来いよ」と笑顔で見送られ、こうし て連れ立ってホグズミードまで来ている。



「ハーマイオニー、私ちょっと考えたんだけど…」
「そうね、そうしましょう、!これなら一石二鳥だわ」
「でも、大丈夫かな、」
「大丈夫よ、何とか為るわ、ホグズミードは魔法が使えるんですもの。」


ホグズミードの入り口まで一目散に駆けていったとハーマイオニーは、何やらひそひそと内緒話でも始めるかのように互いの身体をピタリと寄せ合い、しき りに話し込んでいる様子だ。
ダンブルドアの話に適当に相槌を打ちながら、遠眼その様が映りこんできたスネイプは、妙に胸に痞える不審感に自然と眉間に皺を寄せた。何の脈略も無いのだ が、如何にも厭な予感がする。
予感は当らないほうとは言い難いが、良く当るほうでも無い。だが、確信に似た妙な違和感に、困惑気味に眉まで寄せた。


そして、スネイプの予感は、ホグズミードの入り口付近まで来た頃に、見事に的中する羽目と為った。



「ハーマイオニーと相談してたんですけど…みんなでホグズミードを散策するのは午後からにして、午前中はチームに分かれて【宝探し】しませんか?」


胸痞えた嫌な予感の正体とは此れか、とスネイプは心中歎息する。

「………宝探し、だと?」
「はい、宝探しといっても、ハグリッドから頼まれた購入物品リストの散策をチームに分かれて行うだけなんですけどね」


小さく首を竦めて見せたは、掌程度の大きさの紙をポケットから取り出して、広げてみせる。
するとご丁寧にも、ハグリッドの映像付きですらすらと読み上げられる【物品購入リスト】は、実に16を越えそうな品数。
確かに、これらを全員で広大なホグズミードをダラダラと探そうものなら、日暮れまで掛かってしまうだろう。
最初の内は僅かに咎めるような視線でを見ていたスネイプだったが、ハグリッドの提示してきた品物の余りのマイナーさに、何処か適当な店数軒で済む様な 簡単な買い物でも無い事を認めた。

為らば致し方無い。
名前すら聞いたことも無い様な品は教師陣が探すから残りはお前たちで、と言い掛けたスネイプだったが、真後ろから聞こえた緊張感皆無の穏やかな口調が、こ の先の行事を決定付けた。



――――――折角じゃから宝探しらしく、くじ引きで2×4の8人で2品ずつ探すというのはどうじゃ?」
「……校長、何もかもを遊びと混同するのは如何かと思いますが」
「じゃがな、セブルス。此処はホグズミードじゃ、少しくらい遊び心が芽生えても誰も止められはせんよ」



小さく咽喉奥で笑ったダンブルドアに対するスネイプの表情は険しいが、其れが何時もの不機嫌なのか、馬鹿馬鹿しい事への苛烈なのかは傍目から見ているハ リー達には判断が付かなかった。
ダンブルドアの言葉の後、スネイプが何も言わないのを肯定と受け止めた彼は、懐から杖を取り出し一振りすると、長さ5cm程度の木の棒を8本取り出した。
傍目は桧に近い色味で、全て同じ形と揃いの木目調をしており、判別が付かない。其れを掌の中で泳がせながら、



「一人一本、取って貰えるかの。
一人が一本ずつ取った後に、棒が4色に光る。同じ色同士がペアになって【宝探し】じゃ。
勿論、不正は一切無し、同じ色同士を引いたものは理由が在れ無かれ必ずペアになるんじゃ、良いかの」


そう言い、にっこりと微笑んだダンブルドアは「レディーファーストじゃからの」と言い、、ハーマイオニー、マクゴナガルと取らせた後に残った男性陣へ と掌を差し出した。
指を差し出し掛けて一瞬ハリーが竦んだのを嘲笑するように潔くドラコが一本引き抜けば、むっとした表情でハリーも一本掴みあげる。
互いに思うことは同じ、「と一緒に為ろうものなら許さない」「そして、お前と一緒になる事だけは真っ平ご免」の二つだ。


重たい沈黙の中で視線だけで抗争を続けている二人に溜息を吐きながら、「マルフォイは兎も角、スネイプと一緒に為るのだけは勘弁だな…」と思い馳せながら ロンも一本引く。
終始笑顔のダンブルドアに無言の一瞥を投げながらも、スネイプは残り二本の中から自分とは真逆の位置に置かれた一本を取り上げる。


皆棒を取り上げたのを確認し、ダンブルドアはゆっくりと口を開いた。


「では、始めようかの。
……あぁ、言うのを忘れておったが、此れは組み分け帽子の棒版みたいなものでな、棒が勝手に『この場で一番適当だと思われる二人』を勝手に選ぶ上に、選ば れた以上はキャンセルが出来んのじゃよ。
其れから、棒を引いた時点で、このルールに賛同した事に為るという訳じゃ」
――――なっ、校長、如何してそう云う事を前もって言わないのですか!」

慌てた様に声を荒げ片眉を吊り上げたのは、スネイプではなく意外にもマクゴナガル教授だ。
後付で事実を晒すなんて無効だ、と言わんばかりの形相に何故かロンの顔に青が走った。

「まぁまぁ、そう怒る事でもないじゃろう、ミネルバよ。事前に言えば誰も引かなかったではないかの」
「ですから、予め言うのが……っ」



未だ物言いたげな表情でダンブルドアを見上げるマクゴナガルだったが、タイムリミットが到来した様に8人の手元に在る棒が一斉に七色の光りを帯び、自然と 視線をダンブルドアから手元へと移した。
一様に掌を見詰め、手元の棒が何色かを8人が一斉に見入る様は異様と言える。
数秒光り瞬いた後、緩やかな発光色と共にひとつの色だけで光り始めた棒を見、誰とも無く周囲を見渡して、表情繕う事を忘れた様に第一に競り上がった感情を ストレートに口に出した。



「げっ」
「……なっ…」
「うわっ、」
「じょっ、冗談だろ…」



因みに、上から、ハーマイオニー、ロン、ハリー、ドラコが発した科白である。
手元に光り続ける棒切れを見詰め、片割れが誰かを認識した瞬間、世界が凍ったように停止した。
其々思うところは在るにせよ、心の中ではなく実際に言葉を紡いだ彼らに対し、彼らと同じ色の棒を引き当てた片割れは一斉に吐き出された科白に対して反論す る。


「我輩が相手では不服かね、ミス・グレンジャー」
「……いえ、決してその様な事は有りません、スネイプ教授」


明らかに引き攣り笑いが混じり、取って付けた様な返答に、スネイプは怪訝な表情をしてハーマイオニーを見据えた。
そんなハーマイオニーの隣では困惑気味に眉根を寄せ、一方息を呑んだのは、


「私が一緒だと、ホグズミード経験も少ないから不安かな、ロン」
「まさか、そんな事無いよ!僕も詳しい訳じゃないから、大丈夫」
「本当?足手まといに為らない様に頑張るね」
「僕こそ、に迷惑掛からないように頑張るよ(なんだって僕がと…)」


ロンは、マルフォイやスネイプを一緒に為ったら如何し様、と云う不安要素は確かに抱えていたが、よもやと一緒に為るとは想像の範疇外だった。マルフォイやスネ イプと同じ棒を引くよりも、間違い無く性質が悪い。
想像すらしていなかった組み合わせ、ロンの中では先ず有り得なかった事態に、如何したものか理解出来ず、内心で混乱していた。
一方其の後方ではドラコが、ぎしっ…、と無意識のうちに噛み締めていた奥歯が、音を立てて軋んだ。
其れを何かの合図であるのかのように、ハリーが先に口火を切る。


「僕だって冗談だって思いたいね、何で僕がマルフォイと」
「其れは此方の科白だ、ポッター。いいか、くれぐれも僕の邪魔はするなよ」
「誰が、其れは僕の科白だよ」
「言ったな、ポッター!大体、如何して僕が――――――

―――――――黙れ、ポッター、マルフォイ」


今にも口論の火蓋が切って落されかけようとする触発した二人に、スネイプは横目で睨み、低い不機嫌味を帯びた声で黙らせた。


「(一体何を企んでいるのかしら、校長は)」


既に対立や先行きに不安が感じられるような組み分けに為ってしまい、マクゴナガルは自分と同じ淡い橙に光る棒を持ったダンブルドアを見上げた。
だがダンブルドアは終始瞳にやわらかな光をたたえて、彼らを見詰め微笑んだ侭。
何か意図が有っての事かと思いもしたが、犬猿の中で知られるハリーとドラコを同じペアにする意図が如何しても汲み取れない。
ほんの数時間同じ空間で同じ責務を負ったとしても、彼らが長年の蟠りを剥ぎ取る様な切欠に為るとも到底思えず、況して今の状況は逆効果でしかないような気 さえ起きる。

今でさえ、スネイプに一喝されたから黙っているものの、ドラコとハリーの視線は既に憤りと互いを侮る様な色味が混じっていた。


吐きたい溜息を堪え、マクゴナガルはもう一度彼らを見た。
ハリーとドラコ、ロンと、ハーマイオニーとスネイプ、そして自分とダンブルドア。
後者の三組は差し置いたとしても、ハリーとドラコが何時まで経っても「もう一回最初から」と言い出さない事に、そういえば、と疑問を感じた。
如何して、と聞きたい衝動を必死に堪え、マクゴナガルは代わりに緩い息に変えた。
ダンブルドアに意図が有ろうが無かろうが、彼らが誰一人『無効』だと言わないのだから、この組み合わせは有効なのだろう。
そう思うことにして、マクゴナガルは『如何考えても納得の行かない組み合わせ』について画策することを止めた。



「皆、異存は無いかの。まぁ、有っても今更遣り直す事も出来んがの」



穏やかに微笑むダンブルドアの言葉を皮切りに、一風変わった宝探しのペアが確定した。
タイムリミットは正午、探す品は其々二つ。
ダンブルドアとマクゴナガルのペアを除いては、普段は全く関わる事の無い異質な組み合わせの三組であるが故に、駆け出しの時点で既に折り合いが悪く重たい 沈黙が流れ落ち始めている。


こうして、ホグズミードにおける【宝探し】が始まった。













































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(C) 2002-6 The fanfictions are written by Saika Kijyo. update 2006/10/29