魔法界のカレンダーはマグル界のものと異なっている。
見た目はマグル界の其れと何等変わりは無い。だが、日付の部分に指を触れると、其の日の予定や前の日の出来事などを記憶し、記憶された本人にのみ映像再生 してくれる。云わばちょっとした遺伝子認証に近いセキュリティが施された、テープレコー ダーと日記帳とスケジューラーが合わさった様な機能を兼ね備えていた。

監督生室の豪奢な机の上、リドルの外面がそうさせるのか、几帳面に纏め上げられた羊皮紙と文献が山積みになっている。ふと目に留まったカレンダーの日付に 無造作に○印が付けて有るのを眼に留めたリドルは、明日忘れてはいけない大切な用事でも合っ ただろうか、と 思案した。
明日は教科の課題の提出日でもなければ、クィディッチの試合も無い筈だ。何せ土曜日、暦上は休日なのだから、講義が入っている訳もない。では、一体なんだ ろうか。


「……ホグズミードに行ける日でも無いし、ね…」


淹れたばかりの珈琲を咽喉奥に落としこみながら、無駄に造りの良い彫刻の施された椅子に背を預け凭れれば、急に意識が明確に為った様にぽん、と音を立てて 脳裏に蘇った記憶があった。


(来年の今日から数えて三週間前が来たら、私12歳に 為るんだ)


何ともまどろっこしい表現では有る。しかし、桜色の唇から紡がれた言葉を確かに思い出して、リドルは外套を羽織ると行き急ぐように部屋を出た。途端に待ち 構えていた様なスリザリン寮の女 子生徒に声を掛けられたが、涼しい顔をして受け流しながら廊下を渡り動く階段を使って地下まで下りれば、冷えた静謐な空気が流れ落ちて来た。

「久しぶり、かな、此処に来るのは。」

酷く重たげな印象を受ける荘厳な細工が施された観音開きの扉の前、外套のポケットに両の手を突っ込んだ侭、リドルが上方を見上げ、其処に居る誰かに向けて 小さく言葉を掛けた。


「ヴェリントン、ちょっと良いかな、君に相談があるんだ」


空気に良く通る甘やかで鮮烈な声。
応える様に、難解な回転施錠式の扉鍵が密やかに音無く鳴いてその錠が 解かれる。此方側と其方側の隔てを失い流れ込む清涼な空気ははらりと散るリドルの漆黒の髪を梳くよりも先に、深まりを見せ始めた宵闇の黒橡の姿をリドルの 許に運んだ。







紫 君子蘭の春








「あら、お久しぶりね、トム。私に相談事なんて、明日天変地異でも起きるの かしら?」
「いや、天変地異が起きるんだとしたらもう過去形だよ、僕は一年前のあの日に天変地異に出逢ったんだから」
「トムは相変わらず可笑しなものに出遭うのね。」


室内に足を踏み入れた途端、空から旋律が舞い降りてくる様な柔らかい音が聞こえてきた。
普段と何一つ変わらない彼女、ヴェリントンの声に少なからず安堵したリドルは、"トム"と呼ばれた事に不快感を表す訳でもなく、客を持成す為に即興で用意 された椅子に腰を落す。
無理矢理にカーテンを落して暗闇を創り込んでいる様な幻想染みた深い宵の中、文字通りふわりと舞い降りて来た小さな浮遊物体。乳白色に透明を混ぜたような 色彩の其れがゆっくりと変貌を遂げる様に形作られ、リドルの眼前に据えられた同じ小さな椅子に降り立つ頃には、肩に揺れる煉瓦色の髪が目立つ女性の姿に変 わっていた。


「そうだね。でも残念な事に、もう時間が余り残って無いんだ。
自己勝手で訪ねて来たのは申し訳ないと思うけど、僕の相談に乗ってくれるかな。」
「勿論、貴方が"相談"なんて前代未聞な面白い事態、放って於ける訳は無いでしょう?」


きっと自分に心許す友が居たとするなら、こんな風に柔らかく眼を細め、嗜める訳でもなく慰める訳でもなく相談事に乗ってくれるのだろう。リドルは眼前に蜃 気楼の様に揺らぐ乳白色の気体に向け、「ありがとう」と言葉を返した。


彼女、ヴェリントンはホグワーツに住み着くゴーストだ。
一体何世紀前からホグワーツに居るのか、何が原因でホグワーツに憑いたのか、如何してこの部屋から一歩も出る事無くホグワーツに居続けるのか、何故リドル にだけこの部屋に招き入れてくれたのか---------------
トムは、ゴーストである、と云う事実以外に驚くほど彼女の事を何も知らない。けれど畏怖する事も警戒する事も無く、偶然見付けたこの部屋でとある女子生徒 と情事に耽ろうとした矢先、空から声が降ってきたのだ。

「淑女の眼の前で何を為さるおつもりかしら?生憎此処は私の部屋なの、他を当ってくださる?」
そう、怪訝など感じさせもしない、柔らかく上品な凛とした声色で。
顔色を真っ青にし絶叫した連れの少女を魔法で眠らせると、リドルは未知の生命体にでも出遭った様な心地の侭暫くヴェリントンと話をした。ヴェリントンは自 分の名を名乗ったトムに事もあろうか、あの少女と同じ言葉を返した。
「御免なさいね、私ゴーストだけど、眼が見えないうえにこの部屋から出ないから、貴方が誰か判らなかったわ。
貴方があの有名なスリザリン寮貴公子、監督生のトム・マールヴォロ・リドルだったのね。」
そうして、現在に至る。友情とも言い難い非常に曖昧な関係は、何時も突然リドルが訪問し、適当な頃合を見て去っていく、と云うなんともシンプルなものだっ た。

普段は暇潰しか面白い出来事があった時にしかこの部屋を訪れないリドルは、と出逢ってから今まで、一度もこの部屋を訪れて居なかった。しかし、不躾な 友人にヴェリントンは快く部屋に招き入れた上、酷く嬉しそうな微笑を零した。


「実は僕の知り合いが明日、誕生日なんだ。一体何を贈れば彼女が喜んでくれるかと思って」

足を組み直しながら、淹れ立ての珈琲を咽喉奥に飲み干したリドルは、柔らかく笑んだ侭のヴェリントンに語る。
リドルの言葉に虚を吐かれた様に表情を停止させたヴェリントンは、一瞬リドルが何を言っているのかを理解するのに苦しんだ。
あの、トム・マールヴォロ・リドルだ。部屋から一歩も出る事の無いヴェリントンでさえも噂はかねがね耳にしているほど。
其の彼が態々時間を割いて"何を贈れば良いか"等相談してくる事事態が前代未聞だ。


「貴方に何かを贈られて喜ばない女性が居るのかしら-------------------
モノが駄目なら、甘い言葉を囁いて口付けの一つでも落せば喜んでくれると思うけれど。」

緩やかに唇を操った彼女は、珈琲を口付けながら真顔でそう言い放った。
だが、刹那にリドルは微苦笑を零す。


「まさか、そんな事をすれば僕は"ヘンタイ"扱いされた上に一発で嫌われる。」


そんな事が出来るものなら初めから遣っている。そこ等の女と同じ様な扱い、つまりは…甘い抱擁に貪る様な大人の口付 け、腰に腕を回し吐き気がする様な睦言を紡ぎながら一晩を明かす。そんな事が赦される存在ならば遠の昔に行使済みだ。其れが出来ず、プレゼントと云うカモ フラージュを施した愛を贈ろうとも、彼女が喜んで受け取ってくれる保障など何一つとしてない。
だから人知れず旧友に縋る気持ちの侭此処へ来たと云うのに。其れでもやはり、見付からないのか。
あぁ、如何してか、そう吐きたくなった溜息を、リドルは慌てて咽喉奥に押し殺した。約束したのだ、あの子どもに、溜息は吐かないと。
さて、如何しよう、縋る様に緩く息を吐きながらヴェリントンを見据えれば、彼女は何も無い空間を唯、凝視していた。


「そうねぇ…今からプレゼント、と言っても貴方のことだもの、日付が変わった瞬間に渡したいのならもうお店は閉まっているでしょうし、何より時間が足らな いわね。」


リドルが告げた言葉に、ヴェリントンは明日誰が誕生日を迎えるのか、を暗黙の了解で悟った。
元々手狭なホグワーツの一室でしか存在していない彼女が飽き欠かない位の情報が常日頃ホグワーツ中を徘徊している。勿論、スリザリン寮監督生の話も、多少 尾鰭が付いて肥大しているだろうが、情報の根源は生徒間の噂話だ。
此処までリドルを連綿と悩ませるプレゼントの贈り主、行き当たる先はひとつしか無い。一年程前にリドルが知り合ったと云う、例の珍しい薄紫の瞳を持つスリ ザリン2年生の東洋の魔女に贈るのだろう。
確証は無いが確信は在った。


「そう、だから何か名案がないか、と思って君に相談に来たんだ。」
「あら、トムでさえも思い付かない様なプレゼントが私に見付かるかしら。
あからさまなものを贈ってしまっては、嫌われてしまうものね。」


誰に、ヴェリントンは敢えて固有名詞を上げずに微笑んだ。名前を告げなくとも、それは今更のことだろう。
トム・マールヴォロ・リドルが気に掛けている女が居る、それも未だ女とは到底呼べない様な幼い子ども。そんな噂がヴェリントンの耳に入ってきたのは最近で はない、丁度リドルがヴェリントンの部屋を訪れなくなった頃から。
だから敢えて名を告げずとも、判り切っている事だ、だから暗黙の了解の内に名を隠す。

スリザリンの貴公子が大切にしている、そんな幼い姫君に一体何を贈ろうか。
珍しくも真面目に思案している様なリドルを見据えながら、そう言えば此処の部屋の直ぐ下には彼女の瞳と同じ凛とした紫色のアガパンサスが植えられていたの だった、とヴェリントンは思い出す。


「花束、とかどうかしら?歳の数だけでは少し少ないから、ロマンスは無いのかもしれないけれど。」


リドルが同調してくれたら、階下に咲く薄い紫色の小花を無数に付けたアガパンサスを紹介しよう。どうせ花を贈るのだ、薔薇だとか百合だとかカサブランカだ とか、多くの女性が好みそうな花は今まで腐るほど贈りつけている事だろう。
人知れず咲くアガパンサスは、静かに柔らかく光り受け、静かに清楚に咲き誇る。噂に聞く少女とは相離れた存在ではあるが、少女に似た花を探せと云う方に無 理が有る。為らばせめて、今までリドルが人に贈った事など無い様な種類の花を、と。だが、


「残念だけど、花の香りは嫌いなんだ。」
「あら、意外ね。アガパンサスはそんなに香りが強い種類では無いけれど?」
「アガパンサス------------?」
「そう、この真下に咲いているの。
丁度今頃が咲く時期だから、この部屋三つ分位の広い範囲に満開に咲いている筈よ。
其れに…、アガパンサスは蒲公英ほど、馨りは強く無いわ。」
「……………………………………………………」


全てお見通しとばかり微笑んだヴェリントンは、「沢山咲いているから100本位抜いてもバレはしないわよ」と悪戯交じりに囁いた。
其の瞬間、三週間前程前にから蒲公英の花束を貰った事を唐突に思い出し、その時同時に自分が吐いた言葉も脳裏に蘇ってくれた。

「今度はちゃんと僕が君に花束を贈るよ、両手で抱えき れない程の、愛を添えて」

そう言えば、自分で贈る、と明言していながら花束なんて贈って無かったな。思いながら、リドルはこれ以上ヴェリントンに相談しても花以外の贈り物が得られ ないだろう、そう踏んで、カップの底に僅か残った珈琲を一気に咽喉奥に流し込んで腰を上 げた。


「あら、もう行ってしまうの?お花を摘むには時間が有り余り過ぎるけれど?」
「摘まないよ、それよりももっと良い方法を思い付いたんだ。有難う、ヴェリントン。」


恭しく一礼し、何処かの国の貴族がそうする様にヴェリントンの手の甲に慇懃に口付けを落すと、リドルは優麗に微笑んだ。「次は是非、彼女と遊びに来て頂 戴、最近、暇なの。」そう零したヴェリントンの深みのある声が鼓膜に忍ぶ。
約束は出来ない、若しかしたら今日僕は嫌われてしまうかもしれないしね。
そう言葉を含ませ曖昧に笑ったリドルは最後にもう一度礼を言って、ヴェリントンの部屋を出た。

「噂は本当らしいわね。ご武運を、トム。」

健気とか本気とか一途とか云う言葉なんて一番似合わないような彼の、この頑張りよう。少しくらいは報われてもいいのではないか。小さく消えて行く足音を聞 きながら、 ヴェリントンは旧友の恋愛成就…とまでは行かずとも、彼女が1ミリでもトムを好いてくれれば、そう思いながら彼の背を見送った。








其の日は自室で変わらぬ毎日を過ごしていた。
変わらぬ毎日…つまりは、日々講義を【青空参観】の名の下に素敵にサボタージュしているため、溜まりに溜まった課題を一気に片付ける事である。
魔法薬学に妖精学、天文学に魔法史、と様々なジャンルの文献が床に犇き合い、傍らには白紙の羊皮紙が何巻きも無造作に放られ、其の中心で膝を折る様にマグ ル学の教科書と睨み合いをしているが居た。
あと30分足らずで自分の誕生日を迎えようと云うのに、余りの焦燥感の無さにリドルは一瞬呆れ顔を零した。


「……、ちょっと良い?」
「ん---------、今ミラクル忙しいから無理…………………」
「仕方無いなぁ、僕が残りを一緒に片付けてあげるよ。だから、1時間だけ、ちょっと僕に付き合わない?」
「トムに付き合う?こんな夜中に…?…………トム?こんな夜中?………………トム!?!?」

深い紫色に輝く瞳を羊皮紙から引き剥がして顔を挙げ、途端に克ち合った紅蓮の双眸。居る筈の、居るべきではない人の存在を認めて、は引き笑いを堪えな がら一歩後づさる。


「……もしかして、成仏できなかったから私に逆恨みして取り憑こうとしてる系?」
「…勝手に僕を殺さないで欲しいな。其れより、深夜に女子生徒の部屋に立ち入る事への不信感を抱いた方が良い。」
「あ、そっか…!誰かの部屋と間違えて来ちゃった系?出口はあっち、ちゃんと鍵閉めて行ってね、トム。」


用事は済んだとばかり、羊皮紙に視線を戻し羽ペンでツラツラと文字を書連ねて行くを見て、リドルの頭の中で小さな何かがブチリと音を立てて切れた。
腰を折り、床に座り込んで羊皮紙を広げ羽ペンで「魔法界におけるマグルの所存…」と書き始めていたの手首を掴み上げると、力任せに上方へぐいと引き寄 せる。驚いた様に瞳を見開いたに構う事無く、

「僕は君に用があるんだ、
「ちょっ、トム…!」

倣岸なまでに言い切れば、非難めいた声がから上がった。
しかしリドルは怯む事無く、の細い腰に無理矢理腕を回し一気に抱き上げると、空いた片手で箒を呼び寄せ数瞬の間にの部屋から外へと抜け出した。無 理矢理攫う、だなんて何と卑怯臭い。痛いほど判っている、だからこそ、向けられる漆黒の両眼、鋭い視線を真っ直ぐに、受け止めた。
投げられるだろう罵詈雑言を受け止める覚悟決めて腕の中のを見れば、黒い髪の奥、常闇を宿した双眸が表彩無くほんの僅か、伏せられていた。

其れから目的地に着くまで、はトムに何も語らず、況してトムもの感情をこれ以上逆撫でする様な事はしたくは無いと無言を貫き通した。




「……此処…ホグワーツ……?」

着いた先、トムもヴェリントン伝いに聞いた初めて訪れる場所であった為、実際の景色を見るのは此れが初めて。
書割のような四角い夜空に浮かぶ星の下、黒ずんだ煉瓦造りの長細い塔をぐるりを囲むように、薄紫色した花が月明かりに青白く瞬いていた。
初めて見る花に興味を示したのか、新しい寝床に為るかもしれない庭園を見つけたことへの期待か、は抱き上げたリドルの非礼を咎める事も忘れて情景に見 入った。見渡す限りの花の絨毯。何処が始まりで何処が終わりかも判らぬ程広範囲に薄紫の花だけが咲き誇り、其の片隅にとリドルは立ち尽くしていた。


「そうだよ。此処に咲いているのはアガパンサス。」
「アガパンサス…珍しい、ホグワーツにも咲いてるんだ。」
「へぇ、知ってるの?」
「アガパンサス…別名、紫君子蘭。
実家の庭に咲いているんだけど…懐かしいなぁ、まさか見れるとは思ってなかった。」


嬉しそうに微笑ったは膝を折り、幾重にも連なって咲いている様な紫君子蘭を慈しむ様に眺めては、郷里でも思い出しているのだろうか、時折切なそうな表 情を零した。
其れを見て、リドルは急に胸奥を締め上げられる様な激しい感情が溢れ出していた。慰めるよう、今直ぐにでも抱き締めようか。出来る位なら考える前に遣って いる。馬鹿馬鹿しい、思いながらリドルはの傍らに立ち尽くした。


「時間、だね。
「時間?」
--------------------ハッピーバースディ、。君が生まれてきてくれたことに、大いなる感謝を」


測った様に正確に12時を迎えた瞬間、リドルは真直ぐに黒眸を見詰め、律儀に一礼して微笑んだ。
ざっ、と一陣の風が舞い、薄紫の花が一斉に身を戦がせる中に佇む麗姿はまるで飾り物の肖像画の様で、は眼を見張る。自分の誕生日、それも明確に日にち を教えた訳でも無いのに覚えていてくれた上、態々教師陣に見付かるリスクを犯してまで此処へ連れて来てくれた。
何と言葉を返せば良いのだろう、おめでとう、を一番最初に言ってくれた彼に対して。


「…………………………………ありがとうございます」


正直、其れ以外の言葉は思いつかなかった。
紫の花とリドルの漆黒の髪が時折風に撒かれて美しく闇に馴染んでいた。其れを見ながらは、思う、此処までして貰う義理は無いのだ、と。だが、ふと、昔 母親に聞かされたアガパンサスの花言葉を思い出し、は緩く笑った。闇色が揺れ、白磁の面がリドルの方を顧みる。


「アガパンサス…花言葉は、【恋の訪れ】。
こんなに沢山の花が咲いているってことは、私にも"青い春"が来るって事かな、トム」
「さぁね、若しかしたらもう来てるかも知れないよ?」
「まさか、だとしたら、私は自分の色恋沙汰に全く気付かない鈍感娘のレッテル貼られるじゃない!」


もう、貼られているよ、だってこの僕が君を好いているのに君は全く気付かないんだから。


クィディッチ競技場丘で寝転ぶサボタージュ犯に声を掛けたのも、スリザリン談話室で再会し距離を縮めた事も、言ってしまえば気紛れだった。
だと言うのに、この心惹かれようはなんだろう。心を奪われた、それもたった4つも歳が下の幼い子どもに。


「其の内、気付くよ、。(だから其れまで、他の男に媚びたりしないでね。)」


夜眼にも鮮やかなアガパンサスの花と同じ色した双眸を持つ少女を見詰めながら笑みを深め、リドルは確かにそう告げた。言葉がに届いたか風の音に掻き消 されたかは定かではないが、さら、と互いの距離を掠め取る一陣の花風が流れた。































(今年はリドルにおめでとう、と言って欲しかったのです。)

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(C) 2002-6 The fanfictions are written by Saika Kijyo. update 2006/6/11