薄灯りに照らし出された光景に息を呑む。未だ嘗て見知り得なかった事実に、は唯呆然と立ち尽くし、開き掛けた唇を閉じることもしない侭、躍動する心臓
の高音を堪え様と必死に格闘する。
しかし現実は酷く残酷なもので、の必死の努力も虚しく血圧が一気に上昇するかのよう、心臓は高鳴った侭脈打つことを止める事は無かった。
観音扉を押し開いた其の先、深紅の起毛が目立つ上物のカーペットの上、其処に在ったもの。
「 ひゃっ、あ、んっ……も、もっとぉ…っ! 」
耳を塞ぎ両目を被いたくなる光景とは正にこのこと。
見知らぬ女が全裸に近しい格好の侭に床に這い蹲り、乞うように喘ぎながら細く柔らかい身体を二人の男に慰撫されている。それだけではない、舞踏会会場か何
かが催されても可笑しくない程の広さの部屋、至る所に女を組み敷いた男と女に組み敷かれた男の情交が繰り広げられている。
其れも、何の違和感無く、普通に歓談でもするかのように時折他者の情事を視界に入れては恍惚とした表情を浮かべ淫靡に相手を貪る。
初めは、公娼とのセックスかと思いもした。だが、奇特な集団の中に見知った顔を見つけて、は驚嘆する。
「 …ブッシェル卿…っ! 」
ルシウスの予てからの友人でもあり、とルシウスの婚姻の際には立会人も勤めてくれたブッシェル家当主と其の妻が、恥らう事無く公衆面前で淫行してい
る事態に、湧き上がる不安を抑え切れずに居た。
如何やら此れは本当に、パーティらしい。"詰まらぬ余興があるが、私の妻であるお前も同伴せねばなるまい"そう言っていたルシウスの意図を漸く理解する。
他者の瞳に淫靡な姿が映ろうが、旦那以外の人間に股座を覗かれ様が、彼等は一向に構う事無く寧ろこの可笑しな状況を快楽に変えて楽しんでいるようにも思わ
れる。俗に言われる淫猥か、此れが。
「 さぁ、我らも行こうか。 」
耳元で囁かれる美麗な声色に、ズクリと身体の芯が疼くのを堪えきれずに居た。非難の声をあげようにも、腰元に回された掌で促す様に押されれば、一歩前へ出
ざるを得なくなる。
バタンと重苦しい音を立てて閉じられた扉が、唯一の逃げ道、其れを封じられはルシウスを見上げる。
「 此れは一体、如何云う…っ 」
「 見れば判るだろう? 何時も私としていることを此処ですれば良いだけだ、何…"見せる"だけだ、案ずる事は無い。 」
「 ルシウス、何考えてっ…んっ、 」
黙れ、とばかり落とした荒々しい口付け。体勢上、上目遣いになる大きな黒曜石色の瞳と、唾液で濡れて動く口唇がやけに艶かしくルシウスは息を呑んだ。どう
しようもなく、穢してやりたい、という欲求に駆られる。
逃れられぬ猖獗に似た悦楽の社交界の開幕の時が、荘厳に響く鐘の音と共に始まった。
Aristocratic dissipation act.1
此れは一体如何云うことか、説明願おうときっと主人を睨み上げたは意図も容易くルシウスに其の両腕を拘束され、手近にあった背丈の高いソファーに押込
められる。
幾ら相手が夫であれ、夫婦間の情事を他人の前でする等と云う不埒な行為を見たことも無ければ聞いたことも無いは羞恥で顔を真紅に染め上げ、猛反撃す
るかの如く暴れてみせた。
少なくとも、自分と同じ思いで此処に居る女性も少なくないだろう、そう思っていた筈のの思考は呆気無く崩れ去る。とルシウスの丁度真横に居た夫婦
は、嫌がるとルシウスに見せびらかせる様、己が組み敷く女の柔らかな美肉を両指でぐぃ、と押し広げて見せる。
「 あっ…、ルシウスさまぁ…私を、私の痴態をみて…ぇっ… 」
「 ふ、嘗て恋心を抱いた男に見られて感じるなんて、お前はなんて淫乱なんだ。 」
「 いや、言わないでぇっ…あ、あアっ 」
現実離れした事態。平然と繰広げられている事事態が罪だと云うより、この状況で独り平静を保っているの方が何倍も可笑しい人間であるような視線を受け
る。
自分の旦那であるルシウスに股座を開いて見せてよがり狂う美女を横目に、は妙な感覚に苛まれた。身体の奥が、熱い。溶解した鉄から
受ける熱が迸る様にカッと燃え上がる体温に、周囲から聞こえてくる女の悦楽に浸り切った喘ぎ声とが加わって、リアルタイムに官能映画の中に入り込んだ様な
錯覚を帯びる。
「 判っただろう? 一種のパーティだ、唯、楽しめば良い。 お前は素直に…私にだけ抱かれて居れば問題ない。 」
「 なん…でっ、 」
「 私が他の女と此処へ来ても構わない、と? 此れは純血一派の仕来りなのだよ…私の妻となった今、お前には遂行する義務がある。 」
拒絶する事を拒む様、ルシウスは噛み付く様な口付けを落とした。
柔らかな両唇を割り開いて無理矢理に舌を忍ばせると、逃げ惑うの柔らかい舌を追い求め、捕らえると嬲る。口端からどちらとも無い唾液が漏れる事も気に
せぬまま、紅く小さな舌を犬歯で噛んでやれば、ビクリと幼い身体が快楽に震えた。
「 …ふっ…んっ、あっ… 」
引き攣った息と共に上げた声には、自身も気づかない脅えが混じっていた。普段、見慣れたベットルームで行う情事とは違う、人前で見せ付ける様に口付け
るルシウスと、時折感じる周囲の視線に、が恥辱に震える。
抗おうにも抗えず、況して段々とエスカレートしてゆく周囲の行為に過っては為らない不束な期待と羨望が混じって来た。自分が未だ経験した事も無いような行
為
に勤しむ周囲の人間、例えば両腕を縛り上げられて、人前に見せ付ける様に猛るモノを打ち込まれたら…
普段は決してしないような想像が脳髄を駆け巡り、の下肢は独りでに戦慄いた。
「 如何した、私以外の人間が気になるとでも? 」
「 違っ…ゃあっ、 」
殺しきれない女の悦楽に投じた嬌声が、効果音の様に部屋には響く。後は粘着質な水音、ありふれた情事の有様。
何処へ視線を投げてもぶつかってくる出来事に、は視線を隠す場所を失い、彼方此方と泳がせれば主たるルシウスに一瞥される。
他の人間を見るな、とばかり強引に腕を引き寄せたルシウスは、己が身体をソファーの背に押し付けると、猫の子でも抱き上げる様にを腹の上に乗せた。
「 …、招かれた部屋に足を踏み入れる前に外套を脱ぐと言う躾は受けなかったか---------? 」
言うが遅く、上等な水鳥羽毛で作られた白銀に近しい白いコートを因り合せていた緩やかな紐を引けば、の小さな身体を滑る様に落ちた其れが、バサリと音
を立てて床に弧を描く。
コートの下に隠されたるは、薄い絹で作られた純白のスリップドレス。部屋は隅々まで暖房魔法が施されている為に寒さに震えることは無かったが、スリップ越
しに触れる他者の視線に身体が竦む。
見られている、そう如実に悟れば、快楽に慣らされた身体は既に自制を事欠く。
「 お前を他の人間に見せるのは勿体無いが…一生手に入れる事の出来ぬお前の痴態を見せ付けるかと思えば、至極優位な気分が味わえるというもの。 」
「 だっめ、見えちゃ…っ、 」
するりと下方へ伸びた細い指先は、滑らかな白磁器の様な滑らかなの肌の感触を楽しみながら、ぐい、と折れる両膝を立ち上がらせる。眼前にはルシウス、
視線だけは感じる後方に高く腰を突き出す体勢に身じろげば、許さじとばかり膝下に揺れていたスリップドレスの裾を腰上まで捲り上げた。
「 やぁっ…、やめてぇっ…っ 」
「 何故に? お前の優艶な尻が愚物の視界に入ることを、其れほどまでに恥じるか。 」
此れより更に、恥辱に塗れると言うに。
ククク、と喉奥でサディスティックに笑うルシウスは、柔らかな白桃の様な尻を緩やかに揉みしだきながら、肩で結わえられているスリップドレスのホルターを
器用に外して行く。
はらりと音が立ちそうな様で流れ落ちるドレスを見ながら、は木に生る果実の様に下方に垂れる己の未熟な胸が晒されている事に紅を走らせる。遊び心を覚
えた子どもの様な拙い仕草で掌を伸ばしたルシウスは、其の侭桜色に染まる突起を摘む。
「 やぁッ! 」
胸の先、人前に何の制しなく晒された尻に外気を感じる太腿、堅く閉じられた下肢、全てから甘い疼きが湧き上がる。
通常よりも敏感になり痙攣する身体に、ルシウスは飽く事無く指を這わせ、耳元でを恥辱へと誘う嗜虐染みた言葉を吐き棄てた。人に見られて、余計に感じ
ているのだろう、と。
「 ふっ…んっ、ぁ…ルシ…ウスっ 」
赤さを増して艶めいた唇の端、呑み込み切れずに伝う唾液を舐め取り、噛み付く様な口付けをを首筋から胸元へと移してゆく。指先が柔らかな乳房に食い込ん
で、其れを手の中で揉みしだく動きに合わせて、開放された唇は、短い制止と喘ぎを繰り返す。
「 いやっ…も、っ… 」
「 如何した、こうされるのが好きだっただろう? 」
吸い付く様な尻の感触を味わっていた手を名残惜しくも離し、左右の乳首を同時に摘み上げながら、低く囁いてやれば、は呆気無く陥落した。ズク、と疼く
快楽に抗う事等出来る筈も無く、薄い布切れ一枚で覆われただけの下肢は既に熱を持っていた。ルシウスからの刺激を待ち望んで居るよう、透明な滴が内腿に
伝っていく感触に、震えが走って、甘い喘ぎを零す。
厭だ、人前で痴態を晒した挙句、こんな状況下で如何し様も無い位に濡れて欲しがる身体、浅ましい。
其れでも意に反した様に毀れ続ける甘い声、聞こえる喘ぎが他の女の嬌声なのか、自分が発した声なのかすらも判らなくなる。
「 もっとぉ…っ、もっと欲しいのぉっ! 」
周囲から漏れ聞こえる媚びた願い、いっそずっと耳を塞いでいたいと願った。媚びる様に甘く啼く悩ましい雄を擡げさせる官能的な声。其れに助長される様に高
ぶっていく熱に思考は奪
われ、静止を訴えるどころか触れら
れる事の無い下肢への刺激を欲して自然と腰が揺らぐ。
少しずつ身体の奥に募る吹き溜まりに耐え切れなく為ったよう、強請る様な其の仕草に、ルシウスが満足げに笑んだ。
「 何時もの様に強請れば良い、そうすれば…触れて遣るというに。 」
絶対的立場からモノを吐くルシウスは、既に堅く尖る乳首を唇で挟み込むときゅっと歯を立て唇で扱く。背筋を駆け上る疼きに耐え切れなく為ったが、ルシ
ウスの柔らかな銀糸を絡め取る様に縋り付けば、舌で押し潰され未熟な乳房毎吸上げられる。
「 ぁ、あっ……ぃあ、…んっ」
如何し様も無く溢れる声を止めようと両手で塞いでも、隙間からくぐもった喘ぎ声が漏れる。の態度比例するかの如く、下肢に申し訳程度に被せられた下着
は既にしとどに濡れそぼった其処を隠し切ることは出来ず、濡れた布地を押し上げて綺麗な桃色透ける様に、周囲の人間は息を呑む。
早く下着を取り去って見せろ、とばかり鬩ぎ合う男達に冷ややかな視線を浴びせながら、ルシウスはの下肢を覆い隠す下着を無常にも引き千切る。
ビリッと布が張り裂ける鋭い音と共に沸く歓声、其の時既には反抗する意思は欠落しているらしく、呼吸を乱しながら頬を上気させ艶を抱いてルシウスに懇
願する。
「 ぁ…あ、…もっとぉっ、 」
「 もっと? 先程までのさまは何処へ行ったものか。 こんなに濡らして…卑猥だな。 」
乞う様に差し出される紅い舌を舐め取る様に奪い去り、歯を立てる。ビクリと震える抵抗を失った膝に手を添え左右に大きく開かせる。覆い隠すものを喪った其
処は元来あるべき姿を晒し、割れ目からは絶えず愛液が滲み、ポタリと上質のソファーを穢した。腹の下からくぐすように、ひた、と指を当てて滑らせれば、ぬ
るりと生暖かい体液が絡み付く。
「 人様の財貨を汚すなど…躾が為っていないな。 仕置きは何が良い、 」
耳元、雑言に似た言葉を吐いて名を紡げば、唯それだけでは身体を揺るがせる。
「 や…だ…ぁっ…、ひゃぁ…っ 」
庇護欲をそそる無意識の媚態、それ以上に、欲望を煽って止まぬ潤んだ視線、脅えた様に見上げる濡れた大きな瞳。
それら全てがルシウスの嗜虐心に余計に火を付けるとは知る由も無いは、切なげな喘ぎと共に許しを乞う。
「 人様のものを汚してしまうほど…此処はキモチイイのか。 」
「 あ……、あぁんっ、…い、い…のぉっ 」
熱い液体が絶えず溢れ出る箇所を綺麗に無視し、僅かに膨らんだ場所に爪を立てて手持ち無沙汰だった乳首と同時に捻り上げれば、一声高くが啼いた。
其れを視界に入れ、ズクリと大きくなった一物を自分の女のそこに代わりの様に宛がう男を一瞥しながら、ルシウスは言いようの無い優越感と恍惚感に包括され
た。如何なる手段を講じても、彼等はを手にする事は出来ない。其れを知っていて見せびらかす様に抱けば、雄本来の闘争心と自尊心に大いなる効果を齎し
てくれる。
其処等の女とは比べ物に為らない程上出来の感度を持つの身体、触れずして男を誘い込む様にヒクヒクと痙攣する蜜坪に猛るモノを突き入れたくなるのは何
も自分だけでは無いだろうに。
況して、嗜虐心を駆り立てて止まぬ嬌声を一度聞けば、啼かせたくなるのも仕様の無い事。
「 …、何処がキモチイイと? 」
「 ……やっ、やぁっ… 」
「 言わねば一生此の侭だが…お前は耐え切れるのか。 」
くつくつと苦い笑いを零すルシウスに、は涙目で意を表した様にゆっくりと口を開く。自尊心とか羞恥心とか、此処が何処で誰の家で他に誰がいるのだと
か、そんな常識的な事は一切欠落し唯ただ快楽のみを追い求めていた。
細い指がおずおずと後方へと伸び、他の男が見ているであろう自分の下肢の間にある割目をぐぃ、と押し広げる。外気に晒された内壁が寒さできゅっと窄むが、
其れでも熱い体液は留まる所を知らずに、の細い指を汚した。
顔が紅潮し、他者に見られているだろうの部分に鈍痛のような熱い痛みを覚え、は恥じらいで身を捩りながらも乞う。
「 此処…、此処をもっと可愛がってっ… 」
己が妻の可愛らしくも淫靡な痴態に、ルシウスは酷薄な瞳を嗜めるよう、自嘲気味に笑った。獰猛な肉食獣が引き倒した獲物を前、満足気に口元を舐める仕草
に、良
く似ている。
痴態晒すを抱え直す様に引っ繰り返すと、今まではルシウスしか見えていなかったの視界には、自分を見つめる男と女の恍惚に似た視線が映り込む。恥
じらいに熱くなる身体は最早、其の視線から逃れようとはせずにルシウスに言われるが侭大きく足を左右に割り開いた。
「 ルシウスさまぁ、私も…、私も虐めてぇ…ん、… 」
ルシウスの名を甘く叫びながら、自慰を始めた女性はこの女性だけではない。一瞥も寄越す事の無いルシウスを瞳に写し込んで嫉視に似た眼差しをに送る女
性は少なくない。だが、"ルシウスの妻"と云う絶対的な立場に位置するに戦いを挑む様な知能の低い女ばかりではない。
ルシウスと一時の情事を楽しめないならば、せめてルシウスにされていると思い込
んでの自慰で慰める。そんな恐悦した世界を見詰めるは、熱く疼く身体の熱に勝てず持て余したよう、ルシウスに乞う。早く、と。
「 はしたないな、、こんなに濡らして良いと…誰が言った? 」
腰を揺らめかせるの薄紅色の乳首を舌先と唇で虐めながら、両足の狭間に指をすべらせた。其処はもう、粗相でもした様にぐっしょりと濡れて、痙攣を起こ
していた。ルシウスの冷えた指先が割れ目を掠める度、じれったい快感に泣かされる。擦り付ける様に愛液を拭っては僅か尖る切っ先に塗り込めれば、は悦
楽に興じる嬌声をあげ、もっと、と腰を擦り付ける。ルシウスの膝には愛液がしたたり、細い糸をひく。
何処からとも無く聞こえる甘い旋律と、暴漢を好むか泣き濡れる女から漏れる嬌声、そうして一興に身を投じる貴族。
偶にはこう云うシチュエーションも悪くは無い。未だ残された時間は腐るほどある。悦楽に身を堕としたを如何に抱いて遣ろうか、そう侍らせながらルシウ
スは己が髪を結わえるベルベットの平紐を解く。
厳秘に期する宴は未だ、始まったばかり----------------- 。
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(C) 2002-6 The fanfictions are written by Saika Kijyo. update 2006/3/11