「A jealous person」
こんな感情、とうの昔に切り捨てた筈だと思っていた。
いや、私には生まれた時から持ち合わせていない感情だったのかも知れん。
とかく、最近はこの感情に押しつぶされそうになる。
信じられるか?
この、ルシウス・マルフォイが、”嫉妬”等と呼ばれる卑近な感情に埋め尽くされているなど。
あっていいはずが無い。
「、あの男は誰だ」
「なんで?
ルシウスには関係無いじゃない。」
夕食時。
真っ白の円卓を囲んで、古きよき時代の宮廷料理が飾られる。
色とりどりの色彩は目を和ませ、様々な料理はどれも美味しそうで見ているだけでも自然に心が豊かになる。
それでも、私の心は酷く荒んでいた。
この会話がきっかけだったように思う。
私は心に刺さる矢のように胸につかえていた物に我慢が出来なくなて、ストレートにそう告げてしまう。
「ほぅ…。
では、もうこの私は要らないというのだな?」
冷たいアイスブルーの瞳がまっすぐに彼女を見た。
それは色と同じ様に酷く冷たく、触れたら凍結してしまいそうな程で。
「…ルシウス?
どうしていきなりそうなるの?」
驚いた様子で、信じられないという様子で彼女が私を見た。
それは、酷く単調でそれが私を余計に怒らせる。
「、昨日…男と出かけていただろう?」
「え…?」
そう、昨日は日曜日。
久々に休みが取れた私がと一緒に出かけようと誘ったら、初めて彼女は私との約束を断った。
”大事な用事が有るから駄目”だと。
その声が真剣味を帯びていた為に、仕方なく予定をキャンセルし、前から欲しいと思ってた文献を探しにホズグミードへと足を運んだ。
そこで、私は目撃してしまう。
より聊か年上の背の高い男と、仲良さそうに買い物袋を持って歩いているところを。
瞬間腹が立った。
私との約束を、事も有ろうに他の男と一緒にすごす為にキャンセルしたとは。
あの男が無理矢理連れ出したのか、約束を取り付けたのかは判らないが、付き合うもだ。
断ったらいい。
私との約束がはいったのだから。
何より私を優先すべきではないのか?
それが、恋人の特権ではないのか?
そう考えたら収集が付かなくなって、私は今日、を食事に誘った。
その結果がこれである。
「言訳など無用。
、あの男は誰だ?」
「何で?
ルシウスには関係無いじゃん」
彼女はさらりと言ってのけ、そのまま食事を再開させる。
自分は無いも悪い事などしては居ないと顔に滲み出させて。
しかし、関係無いで済まされるような問題ではない。
「…言え。
あの男は誰だ?」
酷く低い声で搾り出すようにそう言うと、は”聞いてどうするの?”と聞き返す。
その声は半場呆れかけているようで、無性に苛立ちを覚える。
推断するに、あれはのホグワーツでの恋人ではないかと思う。
遠目にも物凄く仲がいいような雰囲気は滲み出ていたし、お互いの距離も近かった。
…思い出しただけでも腹立たしい。
「…その男を黄泉の世界へ連れてってやる」
私は本気で言ったつもりだった。
現に、昨日の時点でどのようにして始末してやろうか延々考えていたくらいなのだから。
が私以外の男を見るなど許さない。
が私以外の誰かを望むのであれば、その誰かを消してしまえばいい。
は私だけを見ていれば良い。
永遠に。
「…ルシウス?もしかして、嫉妬してるの?」
クスクス笑いながらが問うてきた。
頷いて答えが聞けるのならばそれもまた一興。
に笑われた分もプラスして、無料大サービスであの世行き決定だ。
「あぁ、そうだ。
だから早く教えろ」
「…ルシウスが嫉妬して…殺しちゃうの?
…私のお兄さんを?」
耐え切れないとばかりに笑い続ける。
酷く可笑しそうに。
それが無性に腹だたしくて、また自分が不憫に思えて。
「…兄弟が居るなど聞いてない」
「言ってませんもん。
昨日は兄の結婚式の為の材料を買いに行ってて…それで、…やっぱだめ、可笑しすぎる!!」
此方の気持ちも知る由もなく、はひたすら笑い続ける。
笑いすぎでおなかが痛むのか、時折庇うようにして…それでも、気が済むまで笑い続ける。
なんだか笑われた自分が滑稽で、私は笑い続けるを無視して食事に手をつけた。
「ルシウス、私のこと、そんなに好き?」
笑う事に疲れたのか飽きたのかは定かではないが、急に笑う事を止めたは私の顔を覗き込むように質問する。
「聞くな」
「でも、嫉妬するんだもんね〜v
嫉妬して私の兄を殺しちゃうくらいだもんね〜v」
エヘへvと笑いながら、それでも何処かは幸せそうで。
そんなを見ながら、
だから嫉妬するのだ、と思った事など一生言ってはやらぬと心に誓う。
「」
「はい?」
「You are ”ma cherie” for mine」
をぐいっと引き寄せて、耳元でそう呟く。
低く透き通る声がの脳内を支配する。
「え?何?何て言ったの?
英語じゃないじゃん〜!!」
そう、重要部分は透き通る声によく似合ったフランス語。
無論、が意味など知る由も無い。
「教えぬ。
もう少し知能が発達したら判る様になる」
ニヤッと笑ってルシウスが勝ち誇った笑みを見せる。
「酷〜い!
教えてよ、ルシウス〜!!」
夕食後もルシウスに延々はそう聞き続けた。
それでも、ルシウスがその意味を教える事はなかったという。
変わりに、蕩ける様な甘い口付けをくれたとか。
■ あとがき ■
9000HITのリク権を貰って下さった羅雪様へ捧げますv
リクエスト内容は…
・殿下が嫉妬!でも最後はラブラブv
…絶対完璧最後がどうも出来てませんね(笑
申し訳ありません(泣)気に入らなかったり、イメージと違ってたら教えて下さいませ。
書き直させて頂きます故。
あぁぁぁぁ、スランプ驀進中です。
同じネタを二回はキツイ。すみません、羅雪さん、せっかくリクエストしてくださったというのに、お役にすら立ててません(汗
殿下の嫉妬、難しすぎます。
ひたすら修行の日々決定です!本当、気に入らなかったら、時期を置いて書き直させて頂きますので(泣
因みに、フランス語の意味、知ってる方もたくさんいらっしゃると思いますが…英語の『BELOVED』と一緒です。
つまり、愛しい人vという意味ですvきゃ〜はずかしッ!!
++++ この作品は羅雪様のみお持ち帰り可能です ++++
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