大好きな君と二人、手を繋いで何処までも行けたら、きっと幸せだろう。
何時までも続くこの水平線の果てに、
揺らめく二人の影が重なって、
蒼い蒼い海の彼方へ消え行く様を、
何時までも二人で見ていられたら、
どんなに幸せなことだろう。








Water garden








「 見てみて、先生!!
 あそこにも桜貝があるよ! 」













波打ち際、寄せては返す波に足を掬われない様に注意深く歩いていたわたしにそう声が届く。
元々元気の良いが、更に童心に返ったように楽しそうに声を発しながら、純白の砂浜に腰を落とす。
色取り取りの貝が、初めから最後まで其処にあったかのように静かに横たわっていた。
小さな手で一心に貝を集める様は、ホグワーツで一二を争うクィディッチの選手だということを忘れさせてくれた。













、余り波に寄り過ぎると危ないよ 」













桜貝を拾い上げ、嬉しそうに手を振るをわたしは瞳を和らげて見つめていた。
ホグワーツ生でもあるとの夏の旅行。
実現不可能だと思っていた矢先に舞い込んできた突然の朗報。
それを聞いた瞬間に綻んだの表情が、今でも焼きついて離れない。
何時もは天真爛漫にころころと笑っていただけのが見せた、本当に幸せそうな微笑み。
わたしだけが見ることの出来る、の微笑み。













「 だって、先生、すっごい綺麗なんだよ…!! 」




「 ほら、あんまりはしゃぐと…っ 」













ようやく追いついた愛しい人は、微笑んだまま、わたしの腕をすり抜けるように後ろへ下がった。
岩場ではなく、さらさらとした砂粒状の細かい砂浜は、不規則な波によっていとも簡単に崩れてしまう。
少しばかり隆起していた砂山が、形成していた砂を巻き込んで引き換えす。
の乗っていた砂山だっただけに、素直に足を取られたが、ぐらりと体勢を崩した。
の小さな手に収まっていた桜色の貝殻が、真っ青な空に綺麗に舞い上がる。
手を伸ばしても、もう、間に合わない。













ばしゃん、と大きな水飛沫が上がる。
蒼く何処までも透き通る海に、小さな波紋が広がり始めては、消えて行く。
比較的浅瀬だったために、体重で砂自体も然程沈むことは無く、大きな音を立てただけで海はまた静かになる。
が倒れこみそうになった後ろではなく、とっさに抱え込むようにして、自らその場に倒れ込んだ。
冷たい水に、を浸してしまわぬ様に。













「 ルーピン先生っ、ごめんなさい…大丈夫ですか?? 」





「 あぁ、気にしなくていいよ 」













を後ろから倒すことは無かったとはいえ、立ち昇った水飛沫で、とわたしは頭から水を被る羽目になってしまった。
無論、を抱え込んだまま後ろに倒れ込んだわたしは、それ以上に濡れてしまっているが。
水に濡れた
日本人特有の漆黒の美しい髪が、水に濡れて更に綺麗に耀く。
その切っ先からはたはたと流れ落ちる水滴が、淡蒼の海に波紋を作り上げて。
濡れた髪の所為で際立つ大きな瞳に小さな顔。
心配そうに覗き込むの瞳に、わたしが映る。













「 済みません、私ドジで… 」













伏せ目がちに下げた視線に、紡ぎだされる声。
濡れた髪の毛から流れる水が、の真っ白いシャツを濡らし始めて。
制服を着ているときには判らなかった、折れそうな位に細い腰に、薄く梳けるシャツ。
無意識に視線を落としてしまう程のその様に、は不思議な表情を浮かべながらわたしを見た。













「 ルーピン…先生? 」













控えめに尋ねたその言葉に、わたしは細く笑みを漏らした。
腰を地に付けたまま、支えていたの腕から滑らせるようにその細い腰のラインへ。
綺麗にぴたりと吸い付くように括れに添えると、驚いたような表情を浮かべた。
そんなの瞳を綺麗に無視して、わたしはそのまま微笑み続ける。













「 濡れた責任、取って貰わないとね 」













ニコリと微笑んだまま。
引き掛けたの細い腰を引き寄せて、空いている手をそっと真っ白な頬に寄せて。
足元に無造作に転がる桜貝の如き淡い桃色の唇に己の唇を重ねた。
柔らかくて仄かに甘い香りがした。
いつか昔に食べた事のある、マシュマロの様なそんな柔らかな感触。
寄せては返す波音だけが、静かに静かに聞こえていた。













「 ルーピン先生、私っ… 」













唇が離れた瞬間、何かを言おうと思ったであろうは、キッとわたしを見上げた。
その視線を綺麗に無視して、そのまま濡れたを抱き上げる。
崩れたバランスを立て直そうとしがみ付く腕に嬉しさが込み上げて。
暮れ始めた太陽が、水平線に綺麗な翳りを作って行く。
真っ青な水面に、艶やかな橙が揺らめいて。
それらを背景に、わたしはペンションに向かって歩き出す。













「 このままだと濡れてしまうから、急いで帰ろうか 」













私、ファーストキスだったのに。

そう小さく聞こえるか否かの声で呟いた
ごめんね。
知ってたから、敢えて其処でキスをした、と言ったら君は怒るだろうか。
けれど、濡れた瞳で見上げたその中に、夕陽が映って
真っ直ぐに見つめた君が、何時も以上に綺麗で
出逢った時以上に愛しく感じてしまったから
だから、思わず、口付けてしまった。













沈み逝く夕陽を背にして。
あどけなく微笑う、愛しい君。
澄み切った青空の様なその心の中に居るわたしと
わたしの心の中に居る君との関係が、
どうかあの水平線のように消える事無く続いて行くように。















■ あとがき ■


200000hitリクエストドリーム、 青海 陸 様へ捧げますv
リクエスト内容は…

 ・ルーピン先生で、腹黒先生と明るく元気な生徒の設定。
 ・休み、南国の海に2人で旅行に行ってキス、というほのぼの。
 
腹黒…じゃないですよね(笑)&(泣)!!!
書き直し、リクのし直し等承りますので、お気に召さない場合はお申し付け下さいませ。

記念すべき、20万HITリクエスト夢ですvv
ルーピン先生ということで、リクを頂いて速攻で思いついたのです…が。
どうにもこうにも展開が速かった気が(汗)
元気なヒロイン、というヒロインを余り書いたことの無い私なので、書きながら
「これって元気というよりウザイ?」
と自問自答しながら書いていました(汗)
ヒロインとルーピン先生とのキスシーンは、「海」と言ったらコレでしょう!!と独りで花を咲かせていた設定だったので、もうノリノリで書きました(笑)
こんな作品になってしまいましたが、貰って頂けたら幸いです。





++++ この作品はAllie 様のみお持ち帰り可能です ++++











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