「 Steady 」






最近酷く憂鬱で、引きこもりになりそうな私にも…
ついに転機が訪れたのかもしれない。










「 …いや、そっちの紅いほうだ 」








耳元に響く低い綺麗なヴァリトン・ヴォイス。
顔を少しだけ上げると、垣間見れる整った綺麗な顔立ち。
薬草を丹念に切り刻むその指は、酷く綺麗で繊細。
女の子の細いだけの指じゃ、比べ物に成らないほどに、洗練されたもの。





けれど、彼は見た目よりも酷く変わった性格をしている。
毒舌だとか、厭味たらしいとか、なんとか。
スリザリンらしく…狡猾で、鋭利に頭が切れる。
それは、グリフィンドールの私にはないもので。







そんな…
そんなスリザリンの彼、セブルス・スネイプと知り合いになったのは、私がこの世でもっとも嫌悪する、この「魔法薬学」の授業だった。








「 セブルス、これでいいの? 」







手元に在った紅い木の枝を差し出すと、セブルスは無言のまま受け取る。
木の枝を一瞥すると、そのまま鍋に放り込む。
私には、その勢いが理解できない。
間違って、爆発でもしたら一体どうなるんだろうか。
まぁ、彼が失敗するなんてこと、ないと思うけど。







手元に在った紅い木の枝を差し出すと、セブルスは無言のまま受け取る。
木の枝を一瞥すると、そのまま鍋に放り込む。
私には、その勢いが理解できない。
間違って、爆発でもしたら一体どうなるんだろうか。
まぁ、彼が失敗するなんてこと、ないと思うけど。








「ねぇ、セブルス…」











することが無い私は、頬杖を付きながら、淡々を作業を進めるセブルスの様子を観察する。













「…なんだ」











此方を見ようともせずに、煮えたぎる鍋の中身だけを気にしている。
真っ赤だった鍋の中身は、何故か今は凍りつくほどに青く染められていた。
ゴボゴボと音を立てて沸騰する鍋の中身は、今にも飛び出してきそうで。










「セブルスには彼女いるの?」












「…気でも違ったか」












即答された返事は酷く冷たいもので。
気になったから、聞いただけ。
別に深い意味なんて最初から無かった。
けれど、其処まで冷たく言われると、少しだけ腹が立つ。












「…セブルスを好きになる人なんて、いないか」







「…何が言いたい…」











ピクリと眉が上に上がったのを確認してから、私は
”なんでもない”
とだけ短く答えて、自分の作業に専念する。
私の作業は、セブルスによって毎回決められている。
火に触る仕事とか、危険なものは一切やらせてはくれない。
もうかれこれ10回くらいセブルスとペアを組んでいるけれど、一度だってやらせてくれたことはない。
…共同授業なのに。










「これ、入れちゃうよ?」











教科書に載っている、青い木の根。
セブルスは、蛙の干物を解体する作業に忙しいらしい。
手順どおりにいってるはずだから、次はこの青い木の根を入れてかき混ぜれば、OK。
教科書くらい、私にだって読める。











「ばかっ…まてっ…!!」











ちらりと此方を伺ったセブルスが、咄嗟にそう叫ぶ。
しかし、その声が私の耳に届いたと同時に、私の掴んでいた青い木の根は、鍋の中へとダイブしている。
真っ青な液体の中に、静かに木の根が沈んだと思ったら…
大きな音を立てて、沸騰し始め、猛烈な熱さの湯気が立ち上る。
それは、鍋から離れていた私に襲い掛かるようにして。












「あつっ…」











熱い、そう感じてそう叫ぼうとした瞬間に、私の身体は、熱に反応してはいなかった。
咄嗟に閉じた瞳を開ければ、目の前には、自分をかばうようにして立つセブルス。
鍋から離れていたとはいえ、結構な距離があったわけでもないはずだから、自分の前に立っているセブルスは相当熱気に当たっている。
それでも、その場から離れようとはせずに、ある程度沸騰と湯気が収まるのを待つ。











「教科書くらい、読め」





「ご、ごめんなさい…」




「怪我はないのか?」




「 え?あ…大丈夫。
 セブルスは…?」




「 私は平気だ。」










これは全て互いに目を合せていない間の会話。










-その綺麗な容姿に傷が付かなくて良かった-










セブルスが溜息混じりにそう呟いた。
一瞬、我が耳を疑ったけれど、確かにそう聞こえた。
真意を確かめようとした刹那、セブルスはまた自分の作業に移る。











「セブルス」








「何だ」









「意外といるかもね、貴方を好きな人」











「…だから、どうした」












そんな冷たい返事を返すけれど、私は知ってしまった。
セブルスの優しさを。
セブルスを好きな人…
それは、近い将来の私かもしれない。














■ あとがき ■


20000hitリクエスト 里子様へ捧げますv
リクエスト内容は…

・学生セブルス 魔法薬学の授業風景
・ヒロインの一人称
・ヒロインがセブルスを気にする。

三回目にして、未だに書けない学生セブルス。
私には向いていないのかしら?と思うほどにかけません(泣

ラストは微妙ですが、ヒロインはセブルスに恋をするでしょう!!
そんなことを予感させるラストですね(笑


そして、名前変換が一回だけというのも…(苦笑
申し訳ないです、書き直し、承りますので、仰って下さいませ(汗



++++ この作品は里子様のみお持ち帰り可能です ++++











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