例えば、一生報われることの無い恋。
彼の一番近くに居るのは私なのに、彼の心の傍に居るのは私ではない。
彼が、私の友達で無ければ。
彼が、私とは一生関わることの無い人間だったならば。
私の恋心が、目覚めてしまわなければ、私は普通で居られたのかもしれない。
笑いながら彼の話を聞き、相談に乗り、励ましあって、明日を共に生きる。
そんな当たり前の日常が、明日も明後日も変る事無く訪れるのだろうことは疑いもせずに。
彼の微笑みの先に居るのは、私ではない。
それだけは、消しようもない、事実。













神様、もし居るのならば一つだけ教えて下さい。














大好きな彼を忘れる為には、一体どうしたらいいのですか?








Dearest








、相談があるんだけど、いいかな? 」









何時もの放課後。
教科書を抱えたまま、リーマスは笑って私にそう聞いた。
ハッフルパフとの合同授業。
その後、彼は何時も私にそう問いかける。
彼の相談は間違いなく一つしかない。
ハッフルパフに居る、ある女の子への恋愛感情での相談事。
傍から見ても仲の良いリーマスとその少女は、傍らでは"付き合っているのでは?"と言われるほどで。
実際、付き合っては居ないのだけれどお互い告白にまでは至ってはいない。
つまり、リーマスは未だ片思いのままということになる。








「 うん、いいよ。じゃあ、このまま寮行こうか? 」










作り笑顔ではない微笑が自然に漏れた。
沈んでいた心が更に深く重く圧し掛かるように重責を増した。
リーマスの前では、笑っていたい。
例えリーマスが向けてくれる笑顔が、”友達”の物でしかなかったとしても。
それでも私は、彼の傍に居れるだけで充分だった。
つい先日までは。











「 今日はどうし… 」











リーマスに投げ掛けた言葉は、空に消えた。
抱えた教科書が、重い音を立てて崩れ落ちるかのように、私の表情から、喜の感情だけが欠落し行く。
言葉と共に見上げた視線の先。
凍り付いた様に前方を見つめるリーマスの瞳には、彼女が確かに映っていた。
スリザリンとの合同授業。
魔法薬学の教科書を抱え、笑顔で友達と此方に歩いてくる彼女を見つけると、瞬時にリーマスの表情が変わる。
本当に幸せそうな微笑み。
私や、リリーや、ジェームズ達の前では決して見せる事の無い、柔らかくて幸せそうな微笑。
私が初めて垣間見た、リーマスの心からの微笑み。











すれ違い様、一瞬だけ、彼女が此方を見る。
勿論、視線の先にはリーマス唯独り。
私の存在などさして気にもしていない様に、彼女は柔らかくリーマスに微笑みかけ、可愛らしく手を振った。
まるでスローモーション再生が掛かった様にゆっくりと時間が流れ、周りの私達などお構いなしに、二人の視線はぶつかる。
嬉しそうに微笑んだリーマスに、幸せそうに微笑む彼女。
その調度真ん中に居る私は、心が壊れてしまいそうだった。
大好きだと認識してしまった人は、私以外の別の人を愛している。











「 ごめん、何処まで話した? 」











彼女と私たちの距離が完全に離れてから、リーマスは私に友達としての笑顔を向けた。
何時もと変わらない、リーマスの微笑が、私の心に棘になって絡みつく。
知らなければ良かった、リーマスの本当の微笑みなんて。
私は本当に彼にとって「友達」でしかないと、思い知らされるから。
友達でしかない、それは頭で判っているのに心が理解してはくれない。
それはきっと。
心のどこかで、未だ期待してるから。











もしかしたら、いつか私を好きになってくれるのではないか、と。











「 ねぇ、リーマス…今、幸せ? 」






「 勿論、幸せだよ。
 も早く好きな人を見つけなよ。 」






「 好きな人…居るよ。 」











言ってしまいたかった。
楽になりたかった。
貴方の口から毀れる彼女への愛を聞くことが無くなるのならば。
引き裂かれそうなこの心を繋ぎ止める事が出来るのならば。
愛しているのは、貴方だと。
心から大好きなのは、リーマス唯独りだと。
友達としてはもう、見れない、見たくない、見て欲しくは無いのだと。











「 僕、協力するよ?
 いつもには相談に乗って貰ってるから。
 だから、教えて? 」











お願い、そんな風に哂わないで。
そんな瞳で私を見ないで。
貴方に対するこの想いを口に出せば、どれだけ私は楽になれるのか。
それは私が一番良く知っている。
でもね、出来ない。
話したら、この関係が壊れてしまう。
優しい貴方は、私が傷つかないように、私の元から離れていくでしょう。
友達、でも居られなくなってしまう。
私の中から「リーマス」という存在が消えてしまったら、それこそ私は本当に壊れてしまう。
友達でもいい。
貴方の口から聞ける愛の言葉の対象が、全て彼女でも構わない。
私が我慢すれば、リーマスが傍に居て支えてくれるなら…
私の心がどんなに壊れてしまっても、私は貴方の傍に居続けるから。











「 なーんてね。
 居たらリーマスに真っ先に教えるよ。 」






「 そう、そうだよね。 」











おどけた様に哂ってみせる。
心は笑ってもいないのに。
私の心はもう、涙を流さない。
只、壊れていくだけ。
大好きなリーマスの傍に居られるなら、心くらい壊れてしまっても構わないのだ、と。
この想いを口にしない限り、貴方が私の傍に居てくれるならば、私は平気で嘘を吐き、笑っていられる。
「君は僕の、掛け替えの無い親友」
私と貴方を繋ぐ糸が、「友達」でしかないのなら、その糸と絶やさぬ様、縛ってしまえばいい。











「 告白、しようと思うんだ。 」











笑顔で相談に乗る私。
腹の中で、醜い感情に押し潰されていることを、彼は知らない。
”振られてしまえばいい”
そんな浅羽かで醜く、猜疑と嫉妬心に包まれ、笑うことにすら疲れた私。
彼女、が消えてしまうことを心の底から望んでいる汚い感情に身を沈めている私を、リーマスは知らない。
リーマスが必要としているのが、「最愛の友達としての」ならば、私はそれに為り切ろう。
例え全てを偽って、この心をバラバラに砕こうとも。
恋は盲目。
壊れても、彼が傍に居てくれるなら、それいいのだから。















■ あとがき ■


166666hitリクエストドリーム、 Allie 様へ捧げますv
リクエスト内容は…

 ・リーマス夢で、暗い悲恋希望。
 
…暗い…(笑)妙な実体験を含みつつ書いてみたのですが…如何だったでしょうか(汗)
書き直し、リクのし直し等承りますので、お気に召さない場合はお申し付け下さいませ。

リーマスに恋をするヒロイン。でも、そのリーマスには大好きな人が。
日常生活の中で結構あるのではないでしょうか、こんなシチュエーション。
実際問題、夢の中の世界のように「思えば全て叶う」という恋が存在するわけではないですしね。
かといって、それが存在しないものだからこそ、夢という世界に魅せられ、私は「そういう恋」を書き連ねているのでしょうが。
↑それを現実逃避という(笑)
これ…リーマスでのリクだったんで何とかかけたんですが…殿下や教授だったらそれこそ悲惨な夢になりそうです(汗)





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