Can you tell me grounds?






わたしには、付き合って1年になる恋人が居る。
けれど其の恋人は…
わたしよりも仕事に夢中で、仕事を唯一の生き甲斐にしているような雰囲気さえして。
配属病棟が異なってからは、病院内ですれ違うことすら稀で。
日に日にわたしの苛立ちは高まり、噴火前の火山が溶岩をその胸に抱きかかえる様に、憤慨を溜め込む。
知っているかい?
物事は、何でも溜めすぎると良くないことを。












医師、今日の仕事帰り… 」












偶然にも見かけた第一病棟整形外科前で、愛しい恋人はカルテを持って時計を眺めていた。
抱えられた水色のカルテは第一外科特有のもので、紅いラインが引かれている。
どうやらこれから緊急オペが開始される患者のものを運ぶ途中らしい。
エレベータを待つその後姿を発見した瞬間、話していた子供に別れを告げて白衣の前を直して向かおうと声を掛けた。
けれど、愛しい恋人に、わたしの声は届かない。












「 マルフォイ医師、今日の患者は少し警戒したほうが… 」
「 そうだな。少しはまともな意見が言えるようになったとは。
 私の教授の仕方が良いと見える。 」
「 私も第一外科の人間です。これくらいは。 」












愛しい恋人が、微笑む。
わたし以外の異性に向けての微笑みは、私に対する威嚇でしかなく心に火が走る。
嫉妬という様なちゃちな感情などではなく、心の其処から湧き上がる何もかもで絶対位置に立つ男、ルシウス・マルフォイに憎しみさえ覚えて。
翻す白衣を見つめる看護婦の視線に混じって、わたしは鋭利な憎しみを込めてその後姿を凝視した。












スペシャリストのみで構成される第一外科。
其処に配属が決まったとき、は心の底から喜んだ。
ルシウスの指導が受けられる、世界に匹敵する男から学べること、自身のスキルを高められることを素直に嬉しそうに笑ってわたしに告げた。
私がルシウス・マルフォイという男を”医師”以外の一面では全く認めて居ない事等露知らずに。
理事長直々の決定に、私一人が意見を述べて聞き入れられる訳等毛頭無くて。
苛立ちを噛み締めながら笑顔で祝福したのは、つい三ヶ月前。
それ以来、は余りにも忙しい第一外科で休む暇など作る事無く仕事に打ち込んだ。
忌まわしきルシウスの元で。












「 リーマス?!ちょ、何するの!! 」












気づいたら、細いその腕を掴んで走り出していた。
の抱えたカルテを引っ手繰るようにして奪い去ると、無駄に手の空いているルシウスに投げるように放り、瞬時にを連れ去る。
ルシウスが声を上げる暇を作る隙も与えずに、抗議の声を上げるを無理やり小児外科準備室へ。
バタン、と勢い良く閉めた扉の音に混じって、の声が木霊する。
怒ったような、呆れたようなそんな表情。
小さいが逃げられないようにその腕で強く抱きしめる。












を連れ去った瞬間、ルシウスは確かに細く笑った。
嘲るような瞳で、わたしを見た。
それは哀れむような蔑む眼。
冷たい瞳の中に写るのは、嫉妬に狂ったわたし。
勝ち誇ったような瞳は、わたしの心に、痛く突き刺さり火を放つ。












「 リーマス、私は大事なオペを控えていて忙しいの、離して!! 」




「 わたしよりも、ルシウスがいい、と? 」




「 何馬鹿な事を言ってるの?そんな子供染みた真似、やめ… 」












暴れる腕を押え付け、抱きしめた細い身体を離すと、その唇に口付けた。
震える腕を強靭な力で戒めて。
か弱い女の力になど、わたしが負ける筈も無く。
ひとしきり抵抗を続けたは、其の内、この腕に縋りつくように身を委ねてきた。
無理やり絡めた舌に、ミルクを舐める子供の様な仕草で応えるに苦笑した。
白衣を着て、第一外科で活躍し、自分よりも外科医としてのスキルの高い医師が、この腕の中では唯の少女に過ぎない。
そんな優越感が、リーマスの嗜虐心を煽る。












「 やっ、リーマス、此処病院…っ 」












性懲りも無く逃れようとモガクをリーマスは視線の端に捕らえた。
白衣の上から探るように撫で、懐から挿し入れた指が小さな突起を捉える。
シャツの上からでも、小さな突起が強張るのが判る。
そのひっかかりを、そっと下から上へ撫で上げて引っ掻く様に弄ってやると、すすり泣く様な甘い喘ぎがの口から漏れた。












「 相変わらず可愛い声で鳴くね。
 ルシウスにも…聞かせた? 」






「 そんなこと、ないっ… 」












抗議の声すら甘い嬌声に変わり。
やめて、と途切れ途切れに口にするの言葉など、綺麗に無視して。
目元を淡く上気させて、感じているのがはっきり判る位に身体をヒクヒクと仰け反らせるくせに、それでも未だは抗おうとする。












「 強情… 」












耳元で、そう囁く。
呆れた様な感情を織り交ぜて、の両手首を右手で封じながらリーマスは左の指先に当たる可憐な膨らみを、中指と人差し指の間に挟みこんだ。












「 …ぁっ…やぁ…っ… 」












冷たい指先に、の身体が震える。
止まることの無いリーマスの指は確実にを追い立てる。
抵抗の和らいだの濡れた瞳に口付けながら、リーマスが机の引き出しをそっと開ける。
手馴れた手付きで紙とペンを取り出すと、弄る胸元の指をそのままに、に突きつけるように閃かす。
其処には、綺麗な書体で書かれた届出が一枚。












「 早退届、出してくれるよね。
 こんな身体で…オペは無理だ。 」












戦慄く身体が、リーマスによって支えられて。
到底帰して貰える見込みの無いは、震える手で其処にサインをする。
名前を書き、日付を書いて、理由を書く。
理由の次欄で、の指は止まったまま。
思い当たる理由が無い。












「 ルシウスに、なんて言うつもりだい?
 理由は…的確に、ね。 」












そう、教わっただろう?
そう意地悪く問うリーマスは、が理由の欄を書いている間も留める事無くその身体に指を這わせた。
震える指でが書いた理由。
それは、












身体の調子が思わしくない。












勿論、それを見たルシウスはただ冷たく嘲っただけで。








□ コメント □

山菜蕎麦にて、130000HITを踏んで下さったゆいなさんのリクエストで、嫉妬に狂うリーマスです。
ホグワーツ病院物語の設定がいいということで、此方にも乗せてます。
それにしても、リーマス嫉妬具合がちょっと物足りなかったですね。個人的にはGO!の勢いだったのですが、どうもヘタレになりそうなので、この辺で止めておきました。
ルシウスがヒロインをどう思っているかは不明ですが、リーマスはルシウスが嫌いの様子で(苦笑)
ルシウスに嫉妬する、リーマス。
ちなみに、題名の意味は「口実が言えますか?」という意味です。
ルシウスに言い訳をするヒロイン…何だかルシウスにも何かされそうな勢いですね(爆)

それでは、ゆいなさん、リクエスト有難うございましたvv









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