「 Holiday 」






騒がしい休日など…にとっては既に当たり前の日常行事と化していた。
週末に訪れる息抜きのような、安穏とした休日を、ホグワーツの生徒たちは思い思い
に過ごしていた。
友人とホズグミードへ出かけたり、恋人との甘い甘い時間を過ごしたり…。
恋人と愛を囁きあって、お互いの愛を再確認したりする休日に、も昔から憬れて
いた。
しかし…、






は、今日は我輩と研究実験をする故、
 貴様にの時間を奪う権利などない!!」
「 戯けた事を。は私とロンドンに買い物に出かけると、言ってるだろうが!」






光が入らずの、唯でさえ、暗く湿った地下室に、くぐもった男の怒鳴り声とも言える声
が朝から響いていた。
一方は、暖炉の前に仁王立ちのように立つ黒いローブに身を包んだセブルス・スネイ
プ。
普段から悪い目付きを更に鋭利にし、時間が経つと共に眉間に皺を寄せる回数を増や
している。
かたやもう一方は、机に凭れ掛るようにして腕組をしながら高級感漂うローブを身に
纏ったルシウス・マルフォイ。
切れ長の冷たい細い眼を、一層冷酷にしながら、白い肌に血管が浮き出てしまいそう
な程に怒りを堪えている。
両者は互いに極凍の如き冷たい瞳を誇示するように、睨み合っては、罵声を浴びせ
る。



彼らのその中心を…、挟む様にして置かれているソファーに座って頭を抱える







いつも、こうだ。




は週末が来る度にそう思っては痛くなる頭を抱える羽目になる。
大の大人が、どっちが自分と週末を過ごすかで、大いに揉める。
魔法の使い合いの様な凄まじい争奪戦にはならないものの…、
飛び交う罵声や言葉の凄まじさは、表現の仕様が無い。
しかも、言葉の奥に隠された内容は酷く子供染みたものだから、尚更たちが悪い。





「 だいたい、何故貴様が毎回毎回ホグワーツに居る?!
 貴様の職場は魔法省であろうが!!」


「 貴様に言われる筋合いなど、ない。
 私の権限で、お前をホグワーツの教師から引き摺り下ろしてやろうか!」


「 ほお…。
 やれるものならやってみるがいい。
 ただし、今日生きて、この部屋から出られるなどと、思うなよ?」


「 面白い。
 これでどちらがに相応しいか、判るというものだ」








見ているだけのにも、既に二人の間に見えない火花ががんがん飛び散っているのが見て取れる。
大の大人がまっ昼間っから言い合いをしている姿など、そう垣間見れるものではない。
ましてや、それがあのセブルス・スネイプとルシウス・マルフォイと知ったらば、間違いなく皆我が目と耳を疑うことであろう。
実際、ですら、現実味がないのだから。









「 …いい加減にしてください。
 喧嘩ばかりしてるなら、私は寮に帰ります」




そう言って、立ち上がろうとした瞬間、二人の声が重なって木霊する。








「いや、待て」
「駄目だ、座っていろ」







お互いハーモニーを奏でるかのような完璧なハモリ振りにも思わず腰を引いてしまう。
気が合うようで、あっていない。
それでも、お互い同時期に声を発したのが気に入らなかったのか、またも口論が展開される。











「 何だと?貴様に命令する権利なぞ、ある訳がない」
「 お前にもを引き止める権利などないと思うが!」







まさに、子供同士の喧嘩並の低レベルッぷりにはただただ引きつった笑顔を見せることしか出来ない。
こんな会話が延々朝から続いて、もうじきお昼になろうとしている。
完璧な時計よりも早く、の腹時計がお昼を告げた。








「…お腹、空きませんか?」







「では、我輩とホズグミードへ行こうか…」
「いや、私とロンドンで食事でも…」






「…私がお昼作りますから、二人でそこで待ってて下さいね」






二人の会話を全て聞き終わらないうちに、はそう言って立ち上がる。
奥にあるスネイプの自室へ向かって歩きだして、無常にも扉を締めてしまう。
取り残された男二人は、することも無くなって、各々その場に座ることに決めた。
かといって、視線を合わせれば口論が展開されることなど判り切ったことで。
それをが知ったならば、作りかけのお昼ご飯などそっちのけで本当に寮に帰ってしまうだろう。
それが判りきっている二人は、大人しくが出てくるのを…待つ。
















「…スネイプ。一つ聞きたいことがある」











「…………………何かね」












結構な時間が経過して、奥の部屋から美味しそうな匂いがし始めたころ、突然に静寂が破られる。
最初に声を発したのはルシウスで、怪訝そうに見返したスネイプが低く応える。









「…もしも、が危機に晒されたとしたら…お前はどうする?」






「 戯けた事を。
 もし、仮にそんなことがあったとしたら、我が命に代えても護ってみせる」





眉間に皺を寄せながらそう言ったスネイプの言葉に、ルシウスは小さく苦笑した。







「 …では、もし…
 私が道を踏み外しそうになった、その時は…」






ルシウスの瞳に一瞬灰色が奔る。
誰も知らないところで、ルシウスは一人で考えていたのだろうか。
立場上、仕方の無いことでもあるというのだろうか。
最近噂される、「ルシウス・マルフォイがヴォルデモードに加担している」というのは本当だとでも言うのだろうか。




アイスブルーの瞳を僅かに曇らせて、ルシウスはスネイプの返事を待ち続ける。
それは全てを蔑み、哀れんだようなそんな眼差し。








「 安心しろ。
 その前に迷わずこの手で殺してやる」






「 愉快な話だ」







自分とは違う、曇りの無い瞳でそういうスネイプに、ルシウスは再び苦笑した。
この男なら、間違いなく自分を殺すだろう。
血迷った自分が、この世で最愛の者を我が手に掛ける前に。









「 では、我輩からも聞かせて頂こうか」








「 ……なんだ」







「 我輩が命を落としたその時は…
 だけを幸せにする、と誓え」









「 要らぬことを。
 言われなくてもそうするつもりだ」









灰色だったルシウスの瞳が、再び澄み切った蒼に戻る。
ルシウスがそう応えた後に、今度はスネイプが苦笑する。
同じようにを愛しているからこそ、誓える約束で。
それは決してお座成りだけのものなんかではなく、キチンとした制約があるかのように。
二人の心に焼きつくこととなる。






互いが互いに約束を言い渡し、誓いをたてた証に、と紳士らしく握手を交わそうと立ち上がる。
立ち上がったスネイプが、ルシウスの元へと向かおうとした矢先に、傍においてあった小さな石のようなものに足を取られる。
ぐらりと体が揺れ、前のめりになったスネイプはまるでルシウスに凭れ掛かるように、ルシウスの胸元へと倒れこむ。















瞬間、奥の扉が開く。














「…ルシウス、セブルス、お昼でき………」















呼びに来たが、真っ先に見たもの。
それは、ルシウスに抱きとめられるスネイプの姿。
そのままの姿で、ルシウスとスネイプはの方に視線だけを向けた。












……ら。












「 ま、待て、誤解するな!!
 これは…」

「 そうだ、誰が好き好んでこんな根暗男となど…!」

「 それは我輩とて一緒!!
 誰がこんな厭味の塊のような男と…!」

「 なんだと?凭れ掛かってきたのはお前だろう?!」

「 好きで倒れたわけなどあるか!!
 大体、我輩の前に居る貴様が悪い!!」

「 自分から倒れこんできて何を言うか!!」











互いを罵り合いながらも、ルシウスはスネイプの身体を支え、スネイプもルシウスのローブの袖をしっかりと掴んでいる。
そんな状況で、弁解したとして、何の解決になるだろうか?










「…………」











再び頭を抱えたは、何事も発せずに静かにその扉を閉めた。
残された二人が聞いたのは、『バタン…』という無常にも響く扉の音だけ。









「 き、貴様が余計なことを言うからを怒らせてしまったではないか!」


「 お前が素直に非を認めればこうはならなかった筈だ!!」


「 未だ言うか?!
 大体貴様は昔から…」


「 そういうお前だって学生時代からちっとも成長して…」












散々言い合いをして、双方がに謝りに言ったのは、それから暫く時間が経過してからだった。
そして、何事も無く、休日は過ぎていく。











コレが、の…何の変化もない休日の過ごし方である。












■ あとがき ■


13000HITのリク権を貰って下さったリラ様へ捧げますv
リクエスト内容は…

・ルシウスとスネイプがバトル

バトルっていうか、ギャグチックに…(汗
しかも、ルシスネみたいになっちぃました(最低
申し訳ありません(泣)気に入らなかったり、イメージと違ってたら教えて下さいませ。
書き直させて頂きます故。

今回ヒロイン居ても居なくても関係ないような気がしてなりません。
しかも、結構冷めたヒロインで…(汗
本当は魔法とかばんばん使ってバトルさせたかったんですが…
技量不足です(汗
申し訳ありません、でも…言い合いは書いてて非常に楽しかったです(爆笑



++++ この作品はリラ様のみお持ち帰り可能です ++++











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