「キャラメルティー」







「紅茶では何が飲める?」






伏せ目がちで、何処を見てよいのか判らずに、始めて都会を見た田舎者のようにきょろきょろと辺りを見回していたにそう声がかかる。
ドキリ、と心臓が跳ね、声がしたほうを振り向けば、相変わらず冷たい表情のルシウスが居る。
暖炉に掛けてあったポットからは、お湯が沸騰したのか、ふつふつ跳ねる音がして、暖炉の傍にある机には、様々な紅茶の葉がガラス瓶に入ったままで置かれていた。





「 あ…、
 キャラメルティーなら飲めます」






様々な紅茶のビンのラベルを一枚一枚見比べて、どうにかは自分でも飲める紅茶を探し出す。
元々、紅茶を余り飲まないは、紅茶のどの種類が好きかとかどの紅茶が美味しいかとかは全くわからない。
けれど、昔一回だけ飲んだ事のあるほんのり甘い”キャラメルティー”だけは、強く脳に焼き付いていた。
蜂蜜を加えて更に甘くして飲む、甘い甘い紅茶。







「 キャラメルティーか…
 らしい。」






ふっと、強張ったようなルシウスの表情が一瞬だけ崩れたような気がした。
真っ白な陶器に金の細工が施されたいかにも高級感を漂わせるそのカップに、キャラメル色の紅茶が注がれた。
ウエッジウッド、とカップの底に英語で書かれたメーカーの名前がキャラメル色の水面に浮かび上がる。
透き通るような琥珀色の液体からは、名前同様に。甘い甘いキャラメルの匂いが鼻を付く。







「蜂蜜は自分で入れるように」






カタン…と小さく音を立てて置かれたティーカップの傍に、同じ色の蜂蜜がビンに入れて置かれている。
は、小さく”はい”と返事をしてスプーンに一杯、蜂蜜を掬って落す。
すぐさま蜂蜜はカップの底に沈むと、揺らめきながら溶け出す。
それを見つめながらスプーンで混ぜ合わせると、キャラメルと蜂蜜の上手に混ざり合った甘い匂いが立ち込める。







「どうだ?少しは落ち着いたか?」







無駄に広い部屋の無駄に大きなソファーの端っこに座っていたの隣に、珈琲カップを持ったルシウスが座る。
洩れてくる匂いから察するに、相当濃くて苦そうな珈琲。
けれど、苦そうなだけじゃなくて、気品と気高さも漂ってる。
ルシウスをそのまま表した様な、そんな薫り。
それをミルクもシュガーも無しで飲むルシウスは、やっぱり大人で。
甘い甘いキャラメルティーしか飲めない自分はやっぱり子どもで。







「 此処には私とお前しか居ない。
 そう緊張する事も無いだろう?」






ルシウスととの距離が近い。
こんなに近距離で会話をするのは、付き合ってから初めてのことかもしれない。
ルシウスが嫌悪するマグル出身のグリフィンドール生の
そんな私がルシウスに愛されるなんて、夢みたいな事、あってはいけないと思っていた。
結ばれてはいけない…
好きになってはいけない…
そう思えば思うほど、この気持ちは大きくなっていって。
気付いたら、私は彼の前に居た。







「 でも…。
 こんなに近くに居るのは初めてで…」






直傍にルシウスが居る事への恥かしさからか、の顔は真っ赤になっていた。
瞳を直視する事も出来ずに、やっぱり俯いてしまう。







「言うより慣れろ、だ」






呟くように言ったルシウスは、手にしていたカップをテーブルの上に置くと、俯いたままのの名前を呼ぶ。
何事かとが顔をあげれば、次の瞬間に視界は一変する。
はルシウスの柔らかい香りに包まれるようにして、強く抱き締められていた。
ぐいっと腰を抱かれて、片方の手で押さえ込むようにして抱き締められてはいるが、それは決して苦しくない。
寧ろ、急激に早くなってしまった自分の心臓の鼓動が伝わらないようにするのが必死なくらいで。





「…ルシ…ウス…ッ」






恥かしさの余りに、は離れようとする。
けれど、ルシウスは許さない。
身長差の為に、すっぽりとルシウスの胸の中に埋まるようになるは、恥かしさで顔すらあげることが出来ずに居る。







「 お前はキャラメルのように甘い香りがするな…」





言葉の吐息が耳に掛かる。
擽ったくて身を攀じると、更に強く抱き締められる。







「 逃げられると、思うな」






そう呟いた言葉は酷く優しげで。
抱き締められながら髪を撫でられると、は更に言葉を失ってしまう。







「逃げたりしませんから…ッ」






放して、そう言おうとしただったが、口を紡いでしまう。
抱き締めてくれたルシウスがあったかくて。
抱き締められたことが嬉しくて。
ルシウスが抱き締めてくれることが幸せで。
少しでもこの温もりを感じていたくて。






だからそのままでいた。






観念したようにルシウスの身体に腕を回してぎゅっと抱きつく。
そんなの行動に、ルシウスはふっと柔らかく微笑んで、髪を撫でてやる。
そしてそのまま耳元で…








- 逃がす気など毛頭ない -






ルシウスはそう甘く囁いた。










■ あとがき ■



11000HITのリク権を貰って下さったあいか様へ捧げますv
リクエスト内容は…

・初めてルシウスに抱き締められるグリフィンドール生のマグルな主人公。


…グリフィンドール&マグルを無理矢理つけたようなドリームになってしまいました(滝汗
申し訳ありません(泣)気に入らなかったり、イメージと違ってたら教えて下さいませ。
書き直させて頂きます故。

すみませんすみません!!
もう、ヘタレ街道まっしぐらですよぉ(泣
折角リク権貰って下さったのに…ご希望に添えられないような内容になってしまって申し訳ありませんです(泣
書き直しとか、全然おっけーですので、言っちゃって下さいませ(汗

個人的希望で、殿下の飲んでいるのは「ブルーマウンテン」です(爆笑




++++ このドリームはあいか様のみお持ち帰り可能です ++++



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