「Plastic Bomb」






それはある晴れた日の夕飯時だった。





茜色に焼けた空を見つめながら、は愛しい恋人の為に夕食の仕度をしていた。
火に掛けた鍋の中身が煮えたぎってしまわないように気を配りながら、ふつふつを考え事をする。
最近、夕食時に考え事をするのが日常茶飯事の癖のようになってしまっていた。
考えることは他愛も無いことなのだけれど、一旦考え出すと止まらなくなる。
それは…今日も例外ではなかった。






「…堕ちる…紅い空…」





夕暮れを見ながら、は日本にいたときに習った歴史の教科書の一ページを思い出した。
それは、ある戦争のワンシーンで、真っ赤に焼けた空が地平線に堕ちていくような、そんな情景。
白い雲も、青い空も何も無くて、ただ、真っ赤に焼け爛れた空が横たわるだけ。
そのページには小さく”プラスティック爆弾投下後”と書かれてあった。







「明日世界が滅亡したら…どうなるんだろう…」






窓枠から見える夕陽を見つめながら、何時もの独り言が始まる。
もし、明日、プラスティック爆弾が爆発したら…
そして、それをとめる事もできずに知ってしまったとしたら…
自分は一体どうするだろうか。
魔法も使えない。
ただ、時間が過ぎて爆弾が爆発するだけ。
爆発する瞬間…
自分は何をしているのだろうか。









「…今、帰った」






ぐるぐる回る思考を追っかけて、考えが二三浮かんだ時に、玄関の方から低いけれど確かに声がした。
愛しい人の声。





は”おかえりなさーい”と声を掛けながらパタパタと玄関の方へ走ってゆく。
リビングを抜けて、短い廊下の向こうで、大好きな人が立っている。
そのままぎゅっと抱きついて、そっとキスをする。
優しく髪を撫でてくれる愛しい人。
その人に、開口一言、は突拍子も無い事を告げた。







「ねぇ、ルシウス。
 もし明日プラスティック爆弾が爆発して、世界が滅びる事を知ってたとして…
 それをどうやってもとめることが出来なかったら、ルシウスは爆発する瞬間、
 何してると思う?」






質問を聞き返す隙すら与えずには一気に全て喋りきる。
最初は「何を言ってるんだ…」と呆れ半分で話を聞いていたルシウスだったが、次第に真剣に聞いてくるが可愛く思えてきた。
一生懸命説明するその仕草は、小さな子が拙い言葉で一生懸命親に話をしているようで。






話し終わると、一気に喋って疲れたのか、は小さく深呼吸する。
それでも、瞳は話し終わった後の安堵感からか、喜びに満ちていて、ルシウスの答えを今か今かと待ちわびる。






「…簡単なことだ」






ふっと笑ってルシウスはを抱き上げて廊下を歩く。
だんだん、いい香りが近づいてくる。
今夜はビーフシチューらしい。
香ばしい薫りが鼻をつく。








「たとえ、明日世界が滅びたとしても…
 私は今日と変わらずお前の傍にいる」






そう言ったルシウスは歩きながらの髪に口付けを一つ残した。
”うん!”と嬉しそうに返事をして、はぎゅっとルシウスの首に腕を絡ませて抱きつく。
今日も、昨日と変わらない夕食風景が始まる。
明日も、今日と変わらない風景がみられるだろう。







たとえ、明日世界が滅亡しても…






命が消えるその瞬間を迎えても…







大好きな人が傍にいてくれるなら、それだけでいい。








□ あとがき □

これは、私が見た夢を無理矢理繋ぎ合わせてドリームにしちゃったものです。
だから、つっこんじゃだめです(笑
教授か殿下か迷ったんですが…
最近殿下夢書いてないので殿下にしちゃいましたv(安易過ぎ。






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