「High Heels」
「いたっ…」
横を歩いていたが小さな悲鳴を上げたのを、ルシウスは聞き逃さなかった。
イギリスまで買い物に行きたい、というの兼ねてからの願いを聞き入れ、その道中での出来事だった。
年齢よりかは、大人びた服装のを見て、ルシウスは素直に”綺麗だ”と思った。
そんな、矢先の出来事。
「どうした?」
歩きながら、に訊ねるけれども、なんでもないと首を振るばかり。
仕方無しに、暫く歩いていると人が異様に増えてくる。
が逸れてしまわぬように、繋いでいる手を更に強く握ると、目的地に向って歩く。
「……」
が最初に小さな悲鳴を上げてから、数分と立たないうちに、次の異変が始まる。
何時もはぴたりと自分の傍から離れないがだんだん遅れ気味になってきている。
ルシウスは、自分よりも背丈も違えば歩幅も違うにあわせて何時もゆっくりと歩いている。
今日とて例外ではない。
それでも、自分が速く歩きすぎたか、と叱咤して、再びゆっくり目に歩く。
…それでも、の歩みは遅い。
「…どうした。
具合でも悪いのか?」
人の邪魔にならないような場所まで移動して、立ち止まって、に問う。
けれど、は相変わらず頭を横に振るばかり。
一体どうしたというのだ。
怪訝そうに見つめても、返ってくる返事は同じで、業を煮やしかけた時…
ふと、赤く腫れたの足が目に入る。
「…、何故言わなかった?」
「…え?」
その赤く腫れた足を目にしたルシウスは怒ったような口調でそういい、ルシウスの言った意味がよく判っていないは頭に幾つかの疑問符をのせる。
「きゃっ…」
ぐらっ、と身体が宙に浮き、はルシウスに抱えられるように持ち上げられた。
そして抱き抱えたまま、来た道をゆっくりと戻っていく。
道行く人の視線が酷く恥かしくて、”ルシウス、降ろして!!”と頼むが、当の本人はシカトである。
「ルシウス、買い物は?!」
ようやく、自分が目的地とは逆走している事に気付いたは慌てて問う。
けれど、ルシウスは素知らぬ顔でどんどんと前へ進んでゆく。
「その足では買い物は出来ないだろう。
買い物はまた幾らでも出来るが、
これ以上の綺麗な足を傷つけたくは無い」
その台詞に顔が赤くなる。
そして、自分の足にルシウスが気づいてくれた事が嬉しくて、なんだか恥かしいような嬉しいような気持ちになった。
「どうしてハイヒールなんか…」
そう、が履いていたのは綺麗な淡い色のハイヒール。
今日の服に合わせて初めて買った、大人への第一歩。
大人な貴方に似合う女になりたくて。
子供のままじゃ、貴方に愛想をつかされるような気がしたから。
少しでも、大人だって、知って欲しくて。
親子に間違われたりしないように。
ちゃんとした恋人同士のようにみんなの目に映ってくれるように。
貴方が私と一緒に歩いていて、恥かしくないように。
これからも、貴方が私と一緒に歩いてくれるように。
「、ハイヒールはそのうちイヤでも似合う年齢が来る。
その時が来たら履けばいい。
今は、今しか着れない服装を…
今だから私に見せられるを見せてくれ」
そう言って、ルシウスは私の額にキスをくれた。
その日から、ハイヒールは封印してしまった。
いつか履く、その日がくるまで。
ハイヒールの似合う、大人の女性になる日まで。
ハイヒールを恰好良く履いて歩けるところを、ルシウスに見せられる日まで。
その日まで、暫くは…
このまま子供で居ようと思う。
ルシウスがそれを望んでくれるのだから。
□ あとがき □
ハイヒール、でこんなありきたりな話しか思いつかない稀城をお許し下さい。
最近脳味噌が死んでるのか、いい話が浮かびません(汗
他サイトさんのものを見まくって研究させて頂きます!!
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