氷点下を優に下回る真冬と云う季節柄、劫火の如く炎が滾る暖炉が在る談話室と言えど、気 温は10度を下回っている。吐く息が白くないだけまだマシな方ではあるが、多くの生徒は談話室で談笑するよりかは個々人の部屋で寛いで居る方が賢明と言え る。
此処、スリザリン寮談話室も例外ではなく、静寂の中にはパチパチと其の身を呈して燃える小枝と捲られる羊皮紙の掠れた音だけが響いていた。其の静寂が守り 切られている中心に、彼、トム・マールヴォロ・リドルは足を組み退屈そうに読書に勤しんでいた。
だが其れは、本当に束の間の休息に他ならない。周囲を取り囲む蹉跌の様な女の子達が消えてくれて静かになっていると思えば、バタン、を勢い良く談話室の扉 が開き反射的にリドルはかの方向を見る。

途端にぶつかった薄紫の瞳、長めの睫掛かる切れ長の目元は酷く鋭利で、聊か怒っている様にも見て取れる。いやはや、僕はいつ彼女を怒らせる様な事をしただ ろうか。考 えながら読み掛けていた本を置けば、


「 ドラッグ飲んでセックスすると何十回でもイケるって本当? 」


開口一発目、品行方正眉目秀麗なの口からよもやその様な台詞を聞く羽目になろうとは。
表面上は平静を保っては居るものの、手にした本は滑り落ちる様に床に転がり、落ちた本の内容がすっかり頭から飛んでしまった。






合法ドラッグ





「 其れは僕のセックスじゃが満足出来ないって遠回しに言ってる? 」


談話室に僕としか居ないのを良いことに、被り続けた優等生仮面を剥ぎ取り、普段は口にしない様な言葉を告げれば、驚くこともせずには悪魔の様な微 笑を以ってして返してきた。
との付き合いは少なくない。其の付き合いの中で、が今までこんな言葉を吐いた事が合っただろうか。思い当たるだけ思考を振り返って見ても、勿論無 い。


「 何時私があんたとセックスしたのよ。 」
「 いや、未だだけど? 予定はあるのにが実行に移させてくれないから。 」
「 笑止、幾数多のあんたのFANの子に呪い殺されろって? 」
が身体だけじゃなくて其の心も僕に開いてくれたら、僕は喜んで君を護るのに。 」
「 其処までして付き合おうとか思わないからお気に為さらず。 」


真意に愛の告白に似た胸の内を晒せば、は驚いた表情一つ見せずに乾いた声で心から笑った。酷く面白い喜劇でも見ているかの様に。今まで幾度と無く想い を軽口に乗せて運んだりもしてみたけれど、結果は全て惨敗。
慣れとは恐ろしいもので、お陰で刹那さは生まれて来なくは為ったが、心外であることには変わりない。


「 それなら、如何して君がドラッグの話を僕に持ち掛けたりするの? 薬なんて使わなくても僕なら幾らでも… 」
「 飲めば幾らでもイケるドラッグ、そんなものを女子に渡すのはあんたしか思い当たらないじゃない? 」


さらりと流れる絹の様な夜色の髪が端麗な顔に寄り添い、艶かしい位に美麗だというのに、如何云う訳かこの奇特な彼女は男を一切寄せ付けない様な雰囲気を醸 し出す。
そんな妖艶な微笑を以ってして、そんな台詞を言われると、這い上がる事さえ不可能な奈落に叩き落される様な錯覚さえした。


「 最初から信用はされていないと思ってたけど、其れは幾らなんでも酷いんじゃないかな、
「 じゃあ他に誰が居るって言うのよ? 」
「 飲むだけで何十回もイケる薬を作る人間? 」
「 ご名答。 私はあんたの他にそんな馬鹿馬鹿しい薬を作ろうなんて考えるアホを知らないからね。
 況して…、そんな難解な薬、魔法薬学が超得意なリドル様じゃなきゃ不可能でしょうが。 」
「 へぇ…合法ドラッグねぇ… 」


如何やら僕が暫くの間女の子達とオイタをしなくなってから、外は大分面白い事に為っているらしい。合法ドラッグか、其れはまた大層面白いモノを考え出した 人間が居るものだ。
だが、名誉毀損並に罵れた僕は断じてそんな物を作っては居ない。確かに魔法薬学は得意とするが、そんな事は思い付きもしなかった。お陰で、面白い事を思い 付きはしたが。


「 残念ながら本当に僕じゃない。
 に、僕がセックスが下手だってレッテルを貼らせた輩を八つ裂きにしたいくらいだよ。 」
「 其の前に解毒剤でも作ってあげたら? あんたのファンクラブ会員No一桁の…えーっと…
 イライジャ? だったかな? 」
「 …イライジャ=クレイグ? 」
「 そうそう、その子。 其の子が使っちゃったみたいで、半裸状態で女子トイレの前にイキっ放しの状態で打ち捨てられてたみたいだから。 」


抱いた女の感度が余りに良過ぎて、抱けば抱いただけ求められる事に恐怖を感じた男が此の侭だとヤバイと悟って捨て置いたか。いや、そんな事は如何でも良 い、重要なのは其の前にある。僕が抱かなくなった途端に他の男に身を委ねるとは、何とも愚かな。別に愛していた訳でも好意を抱いていた訳でも無いが、無性 に嫌気がさす。

そんな人間の為に解毒剤を僕が作る?馬鹿馬鹿しい、そんなものは魔法薬学教授の仕事だろうに。


「 ねぇ、、君もドラッグが無いと満足出来ない? 」
「 …何寝惚けたこと言ってんの? 」
「 僕は君が相手なら、其れこそ気を失うまでイかせる自信があるけど? 」
「 自意識過剰もたいがいにしないと本気で嫌うわよ?  」
「 君とヤれるなら、嫌われても本望なんだけどなぁ…。 そうだ、折角だから一回試してみる?
 僕が本当にドラッグが無いと君をイかせられない位にセックスが下手糞か如何か。  」
「 謹んでご辞退させて頂き…っ 」



組んだ足を戻して立ち上がれば、今の言葉にどれだけ信憑性があるのかと云う事実に気が付いたは、閉められた談話室のドアに向かって一歩下がる。
其れを許さじ、と一歩近寄れば更に引き腰に為るの動きを封じ込める様、か細い手首を掴み上げた。くるりと翻す様に身体を反転させ、ソファーの背凭れに 押し倒す形で向き直る。


「 駄目だよ、逃がさない。 」
「 リドル、ふざけるのもいい加減に…っ 」


非難の言葉を聞きたくなくて、無理やりに桜色の唇を塞げば、薄紫の瞳が大きく見開かれる。如何やら僕が多少なりとも本気であり、己の身に危機が迫っている と悟ったのだろう。暴れ始めた身体を押えつける様にソファーに押し遣りながら、熟れる頃合の様な柔らかい唇を舌先で掬う様に舐め、食む。
其れだけで微かに震える指先、堪え切れないのか喉奥から漏らす濡れた声、定まらない焦点に、呼吸の仕方が判らないのかしきりに酸素を欠乏する仕草。

確証する。は強がっているだけの唯の生娘だと。


「 如何したの? さっきまでの強がりは? 」
「 こ…のっ、セクハラ監督生!! 少しは自覚を… 」
「 監督生が好きな子とセックスしちゃいけないって誰が決めたの? 」


見上げる薄紫の瞳に歪んだ微笑を返し、質問への返答を聞くことを拒む様、深い口付けを施す。
閉じ込めた腕を狭めて視線をぶつければ、は受け止めきれず、眼を反らしてくる。逃がさない、そう教えてあげているのに未だ逃げようとする根性を叩き壊 すよう、短いスカートの中に手を差し入れる。
この先何をされるのかと、は怖れるように身構え、堅く眼を瞑る。引き気味の頭を後手に押さえ、口唇を寄せた。
しきりに拒もうとするの唇を無理やりに開かせて、紅いの舌を探り出す。唾液が絡まって、の細い顎を伝い毀れていった。 嚥下することも出来ず、咽喉が何度か苦しげに動く。


「 リド…ルっ、…やっ… 」
「 こんな可愛らしい喘ぎを聞かせられて僕が止めると思う? 其れにほら、厭だ厭だと言いながら…  」


ココはこんなに溢れてる。


卑猥過ぎる言葉に、は涙目に為りながら首を振って否定する。滑らかな陶器の様な皮膚、指先を這わせただけで、感触に、の肌は泡立った。柔な下着の 中に無理やり手を差し入れ、既に蜜を溢れさせるソコを確かめれば、残虐染みた笑みが浮かぶ。


「 ねぇ、…君は僕を嫌う? こんなにキモチイイ事してあげてるのに? 」


既に勃ち始めている蕾を確かめるように、押し潰して、引っ掻いてやる、何度でも。 その度にから引っ切り無しに甘い声があがり、力強く抑制していた筈の腕からは力が抜け、代わりに力の入らぬ身体を預けて来さえした。
いいね、こう云うのを僕は君に望んでいたんだ。
心の中で呟いて、縋る腕を掴み上げ、口角を歪める。まだまだ、イかせてなんてあげない。小さな芽を摘んで爪を立ててやれば、とうとう切望の声がから上 がる。


「 っ…ん、あぁ、あぁんっ…… 」


と、同時。
先程まで静寂に包まれていた談話室奥から数人の生徒が駆け下りてくる音が微かに聞こえた。そうして思い出す、此処が談話室だったことを。せめて、無理やり にでも僕の部屋に連れて帰れば良かった、と後悔しても殊更遅い。
舌打ちしたくなるような失態に、リドルは小さく息を吐いて懐から杖を取り出すと魔法を詠唱する。
ガクン、と崩れ落ちたの身体を支えて遣りながらソファーへ寝かせ、自分も今し方降りて来た様に装うため、落ちた本を拾い上げて男子寮側へ。


「 あれ? さん…、とトム? 何処かへ出掛けるの? 」
「 図書館へ借りていた本を返しに行くところだったんだ。 …は…寝ちゃったのかな。 」
「 じゃあ私たちも付いて行って良い? 丁度トムを探そうとしてたところなの。 」
「 勿論。 其の前に…風邪を引くといけないからね。 」


羽織ったローブを眠ったに掛け、女子生徒をエスコートする様に談話室を出た。やっぱりトムは優しいのね、そう口々に告げられる言葉に愛想良く応えなが ら、身体奥疼く衝動を抑えるのが必死だった。
去り際、に忘却魔法を施す事も忘れていない。一時的な快楽の記憶は、僕の胸の中にだけあれば良い。既に知ってしまったのだ、が悦楽に身を投じたこ とが無い生娘だと。
ならばこれからゆっくりと教え込み、堕として行けば良い。果てしなく終わり無い悦楽の世界へと。次は赦して等やら無い、必ず手にしてみせる。

独り呟いたリドルの言葉は誰に聞かれることも無く、確かな決意となって胸に焼き付いた。


暫くして、スリザリン寮7年生のとある男子生徒が、クィディッチ競技場のポールの上に全裸状態で括り付けられて居た真意を知るものは、トム・マールヴォ ロ・リドルその人だけだった。
















□ あとがき □

あぁ、ギャグで終わらせるつもりが微エロに(笑)
そういえばリドルでエロって書いたこと無いなぁ…ちょっと書いてみようかと創作意欲を沸かしたり。
因みに、イライジャ=クレイグは稀城の好きなお酒の名前です。知ってる人、居るのかな(笑)


+++ ブラウザバックで戻って下さい ++++