髪の長い女
「 、此方へ来なさい 」
怪訝そうに眉を顰めてレポートの採点をしてたスネイプ教授が、を呼んだ。
仕事に没頭しているスネイプを邪魔しない為に、は部屋から持ってきた本を片手に読書に勤しんでいた為、結果的に室内には静寂が漂っていた。
故に、スネイプのを呼んだその声が酷く透っての耳に届き、愕いた様には表情を見せた。
瞬間、さらりと流れる髪が視界を遮る。
邪魔そうにそれを横に流すと、言われたとおりには本を置きスネイプの傍まで歩く。
後数歩、という処まで来た瞬間、スネイプの腕に腰を掴まれたはそのまま抱き上げられるように膝に落とされた。
突然の出来事に、愕いた様に瞳を見開く。
「 あ、あの…教授… 」
「 寂しいならば言葉で言い給え。
我輩もお前を構って遣れぬ程忙しいと言う訳ではない。 」
「 私が何時、寂しい素振りを… 」
しましたか?と問い尋ねようとしてはたと気付く。
それは何の事は無い、昔からの癖だった。
は幼い頃から無意識の内に髪を触る癖がある。
大人に成った現在でも其れは治される事無く続いていた。
別段、その癖のお陰で困ったことや注意されたことも無く、自分自身でも”やめなければならない”というような深刻な癖でもなかった。
思い起こしてみれば、先程本を読んでいる際も知らず知らずの内に髪を触っていたのだろう。
そしてそれがスネイプの瞳に止まり、呼ばれたという結末。
「 髪を触る癖がある女性は寂しがり屋だと聞く。 」
「 確かにそう言いますね 」
「 …お前は如何なのかね? 」
さぁ、とは悪戯っぽく微笑んだ。
その間も指先には絹糸の髪が絡み付いている。
の髪の毛は別段、酷く綺麗なわけでも無ければ人目を引くような髪質でもない。
唯東洋の出身ということから、漆黒の色を携えてはいるが、何処の誰でも持っているようなそんな髪質。
人よりは少しばかり長めのその髪は普段から手入れがされ、降ろされている。
さらりと流れ落ちるその残糸を掬い上げては無意識に指先に絡め取る。
スネイプの部屋に入ったときから既に一時間は経過しているが、その間の指先に髪が遊ばれていなかった事は無いに等しい。
自分では気付かぬその事態に、敏感に恋人は気付いた。
「 お前を此処に置いたままでも仕事は出来る。
しかし…別段寂しいという訳でも無さそうだな 」
そう告げたスネイプは、指に髪を絡めたの腰を抱き、そのまま床に降ろそうとする。
折角乗せて貰った恋人特権の位置を見す見す逃がして成るものかと、はスネイプの首に腕を絡めた。
甘えたように小さな頭をスネイプの胸に埋める様にして、暫し恋人同士の甘い一時を過ごす。
羽ペンを完全に机の上に置いたスネイプも、甘えるに苦笑しながら頭を撫でてやる。
「 この癖…治した方がいいですかね? 」
「 甘える時だけはその癖が出ないのだな、お前は。
ならば直す必要性など無いであろう? 」
「 …それもそうですね。 」
微笑んだは、己の指先に髪の毛を絡ませて居ないことをスネイプに言われて気付く。
遊ばれた髪の毛は寂しそうに元在るべき場所に位置しているが、然程問題は無い。
それから暫くの間、指先に髪を絡める癖を自粛していたであるが、気がつけばそれはまた日常茶飯事になっていた。
スネイプも気に留める事は無い。
唯…、
唯以前よりもその癖をする回数が減り、逆にスネイプの傍に居る回数が増えただけのこと。
□ あとがき □
私の癖です(笑)
寂しがり屋なんでしょうか…気付けば髪を触っている自分に気付きます。
安心するんですよ、なぜかは判りませんが。
髪を触る癖のある人は寂しがり屋だとよく言われていますが…ちょっとあってるなぁ…と思うことが偶に(苦笑)
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