Kiss Mark
今日は久しぶりの休日。
ホグワーツを抜け出した
とスネイプは、
の郷里の露天風呂に旅行に来ていた。
バタンと冷蔵庫を開く音。
プシュッ…とプルタブを引く音。
それからグラスがカチンと小さな高い音を立てたから、
は隣の部屋で、スネイプがビールでも飲んでいるのだと思った。
何故かカチャカチャと低い音が重なってきたけれど、奥の間で起き上がった
は気にしなかった。
いつの間にか夕方と呼べる時間はとうに過ぎていた。
思ったより長い事、スネイプと肌を合わせていたらしい。
汗や他の体液を拭ってもらった肌はスッキリしているけれど、身体のだるさはどうしようもない。
押さえ込まれていた足のつけねや腰は重いし、身体全体に痺れも残っている。
「 …酷い。
イヤだって言ったのに。」
思わず洩れた言葉に、スネイプが向こうの部屋で低く笑った。
「
がイヤだと言ったのは初めだけだろう?」
「そっ、それは…っ」
…そうだけど。
そうかも知れないけど。
…そうさせたのはスネイプ先生じゃない。
は唇を尖らせて、口を閉じた。
嫌じゃなかったから……そしてそれをスネイプ先生に知られていたから、それ以上は反論できなかった。
「夕食が済んだら、露天風呂へ行ってみるか」
スネイプ先生の独り言のような呟きを遠くに聞きながら、それでも用意されていた浴衣に袖を通す。
はまたしても、愚痴を零さずにはいられなかった。
身体のあちこちに…胸にも、腕にも、お腹の方にも、足にも…紅い痕がいっぱいついていたのを見つけてしまったから。
「露天風呂なんか行かない…」
「何故かね?」
理由なんてとっくに察しているだろうに、スネイプが聞いてくる。
「行けないよ…!だって…こんなに……ついてる…」
「何が付いてるのかね?」
意地悪なスネイプがわざと大きな声で聞いてくる。
判っているくせに。
「スネイプ先生のバカっ」
「 なんだと?
一体何が付いていると言うのかね?」
あくまでもとぼけるスネイプに、
はとうとうキレて大声で叫んだ。
「 キスマークだよっ!!
ほら、見て、こんなに…」
そして、スネイプのいる部屋に通じる襖をパンッと開け放って、胸の前を少しだけ肌蹴て広げて見せた………ら。
「お食事の仕度ができております」
にっこりと微笑んだ和服の中年女性と目が合ってしまって、
はカキーン…と凍りついた。
「 お食事がお済になりましたら、庭から露天風呂にお運びくださいまし。
露天風呂は部屋ごとの専用露天風呂になっておりますから、他のお客さんに
お逢いになる事はありませんよ」
「 …のようだ。
良かったではないか、
」
笑いをこらえるスネイプに、
はハッと我に返った。
「わっ、ヤ…やだーっっっっ」
慌てて胸元を掻き合わせて、襖を閉めた。膝が割れた。
まさか、スネイプ先生の部屋に誰かがいるなんて思わなかった。
旅館の人なのだろう。
もしかしたら女将さんかもしれない。
仲居さんだろうか…
とにかく、酷く恥かしい恰好を晒してしまった事に変わりは無い。
「…
、夕食が冷めるぞ」
スネイプがこともなげに呼ぶけれど、
は激しく首を振った。
「ヤ、やだっ、やだっ、やだーっ」
恥かしくて、燃えてしまいそうに身体が熱い。
泣いてしまいそうだった。
「………では、私はこの辺で失礼します」
そう言って、静かに、扉の開く音、閉まる音。
少しだけ聞こえた会話の内容から、女性が部屋から出て行ったことは
にも判った。
それでもまだ、恥かしくて
は動けなかった。
「…
、来なさい」
スネイプがそう
を呼ぶ。
それでも
は座り込んだまま。
「
」
短気なスネイプが奥の間へ続く襖を無理矢理あけたとき、
は慌てて目を逸らし、強情を張って、足元を睨みつけていた。
スネイプは何も言わずに、
の華奢な身体を抱き上げる。
そして、
を抱いたまま、食事の整った卓の前にガタンと座り込んだ。
「たまには和食も悪くない」
スネイプのあぐらの中に身体を落とされ、肩を抱きこまれたまま、
の口元にはスネイプの箸が突きつけられた。
小さく解した何か…料理。
ツンと横を向いても、スネイプの箸は
を追い駆ける。
「美味いだろう?」
無理矢理突っ込まれた物を、仕方なく
は食道に落す。
その後には、スネイプの口からほんの少しのビールを流し込まれた。
「ちゃ、ちゃんと一人で食べるから!!」
そう抗議すると、駄目だと言うようにきつく抱き締められる。
スネイプは何度も
の口に料理を運び、それから口移しで少しだけのビールを運んだ。
の身体が火照ってきたのは、ビールの所為だけじゃない。
唇が触れあうたびに、深くなっていく口付けの所為だ。
「もう…もぅ…やだぁ…」
未成年で初心者の
には、刺激が強すぎるキスだった。
「露天風呂…入るであろう?」
浴衣の合わせから潜り込んできたスネイプの指が、
の胸の飾りをもてあそび始めている。
「た、食べてから…ちゃんと……スネイプせんせっ…」
叫んだ
の口元に、まるで雛鳥に餌を与える親鳥のように、スネイプがせっせと料理を運んでくる。
「勿論、全て食べ終わった後の話だ」
強引なスネイプに抗う術もなく、
はとろとろに溶けていく心と身体をスネイプに預ける。
スネイプのことが大好きだから、結局、スネイプの言う事を聞かずにはいられないのだ。
この後、二人が露天風呂に入ったか、再び布団へ入ったかは…
干渉することでもないだろう。
□ あとがき □
いやはや、なんとも微妙なドリームですね(苦笑)
温泉に行く話を書きたかったんですが…なんかギャグチックになってしまいました。
甘くも無いような気もしますし…
書き逃げしましょうか(オイ)
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