脳裏に焼き付いた君の姿を、今でも忘れることなど出来なくて。 as Lucius
Malfoy
突然告げられた別れ、受け入れるとか受け入れないとかそんな事の前に、何時かは来る筈だった未来の到来が意外と遅かった事に気が付いた。
自分と同じ年の子を持つルシウスとの関係は、恋人同士だった。世間一般で言うところの不倫関係。齢14にして何故こんな事に手を染めたのかと問い詰める
人間も居なければ、自分で此れが犯罪だと知り得てやっていた。好きだったのだ、唯純粋に。其れ以上でも其れ以下でも無い。
「 久しぶりだな、変わりは無いか。 」
突然訪れた再会。意図どころか予感すらしていなかった為に、思わず引き腰になる身体を逃さぬとばかり、ルシウスが掴む。
さらりと流れる銀糸が風に揺らぎ、切れ長の瞳が真っ直ぐに自分だけを写し込む。背ける事をしない頑ななまでの視線に根をあげそうになった。
「 …元気でやってるよ、一応ね。 なに?ドラコの父兄参観でもあったの? 」
「 いや…グリフィンドールの英雄ポッターに此れを渡されてな。 癪に障るから捨て置こうと庭に出たら-------お前
を見付けた。 」
「 …リドルの日記帳…やっぱり、ルシウ…マルフォイ氏が? 」
ルシウスが手にしていたのは水分を含んでボロボロになり所々血で薄汚れたあの日記帳。一部では、死喰い人が此れをホグワーツに持ち込んだのでは、という
噂が立ったが、よもやこの人だったとは。ハリーが言っていた話も強ち嘘や憶測だけではないらしい。
だが、一方のルシウスはそんな事にはお構いなしだとでも言うように、ぐい、と身体を引き寄せる。途端に香る独特の高貴な香りに、心が震える。思い出して
はいけない、かの人の温もりを。想いだせば痛惜だけに苛まれてしまうから。
「 人が、、来たら…っ 」
「 良い機会だ、知らしめて遣れば良い。 この私が本当に愛しているのは一体誰か、をな。 」
「 何言って…もう、私達は終わったんだから、、 」
「 終わらせた、の間違いだろう。 私は…を手放す気など無かった。 」
別れる切っ掛けはルシウスの奥様に事が露見した事が全ての始まりで、全ての終わりだった。ドラコから罵声を浴びなかったのは、只管に両親が隠したからだ
ろう。此方は別に事実を知られても構わなかったのだが。
ひた隠しにされた事実、だからこそ、もう二度とこの人と逢う事は無いのだと自分に言い聞かせてきた。だが、忘れられる筈等無い、忘れられる位なら、今頃は言い寄る男達とヨロシク遣っているだろうに。
「 そんな事言ったって…もう戻れないでしょう… 」
「 ナルシッサはお前を容認すると言い出した。 そりゃそうだろうな、私が全てを捨ててお前を迎えに行くと言ったのだから。 」
「 は……い? 」
「 あの日から、何をしていてもお前が脳裏に過ぎる。 消そうにも消えてくれず私を苛ませる。 」
「 …人を悪霊みたいに言わないで下さい。 」
「 笑いたければ笑えば良い、私はもう、お前無くして生きて行く事が困難に為ったようだ。 」
髪を撫ぜられ、ホグワーツ校舎のど真ん中の庭先で抱すくめられる。此処が何処だとか、相手が誰の父親だとか、そんなものはすっかり脳裏から消え去って、
唯事実として理解できるのは、もう一度この人の隣に居れると言う事だけだった。ルシウスの言葉への返事、其れは重ねられた唇で暗黙の内に伝えられた。
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