清々しいブレイクファースト、されど終わらぬ悪夢


written by Saika (2006.5.10)






「スネイプ教授、お早う御座います。早速書いてきました。」


開口一発目、数多の生徒が呆けた口にパン切れを無理矢理突っ込みながら見惚れてしまうような優麗な笑みを引っ提げて、が朝食真っ只中の教師陣の席に 舞い出でる。其れも、短いスカートから酷く艶かしい白磁の太腿を晒しながら机の脚に足を引っ掛ける形で。

驚いた様に眼を見張るマクゴナガル教授を余所に、ダンブルドアは毎度の事だと柔らかい笑みを携えコーンスープを啜る。何だというのだ、朝っぱらから。貴様 のお陰で昨日は禄に眠れもしなかったとでも云えば満足なのか、この阿呆娘は。

---------------書いてきた?何、をかね。」

あからさまに不機嫌を貼り付け、貴様の所為で食事すらマトモに出来ぬと斜め45度から睨み上げたところで怯む素振りさえ見せずに満面の笑みを以ってして返 してきた。
この娘に付き合えば碌な結果は待っては居まい。最初から判り切っていたことだ、むざむざと時間を浪費してやる義理は無いとばかり、眼前に置かれた淹れ立て の珈琲カップに口を付ける。

薫り高く気品高い芳醇な煙が鼻を通り、咽喉を滑り、肺を満たす。咽喉奥に落せばさぞ深く芳ばしい味わいが広がる事だろう。
思いながら一口分掬い上げれば、


「白々しい、昨夜の私と教授の熱く激しく滾るめくるめく初めての一夜に つい ての考察ですよ。」

「ブ---------------------------------------っ!!!!」


味わう暇さえなく問答無用でカップの中に逆流させてしまった。勿体無い、此れでは朝のモーニング珈琲とやらが楽しめなく為るではないか。我輩がこの珈琲を 飲む為だけに、一体何ガリオン支払ったか判っているのか、小娘!この珈琲は世界遺産並みの希少価値の高い豆で作られているのだぞ!?

いや、待て、そもそも高価な珈琲が如何こう…そう云う問 題ではない。いかんいかん、怒りの余り論点を見逃すところであった。
何を言い出すかと思えばこの子ども、昨夜不法侵入した挙句に熱く激しく滾るめくるめく初めての一夜だと?
熱く滾るはこの際置いておくとしよう。
………置いておけぬと?黙れ我輩の理性っ!後で掘り返すとして、取り敢えず今は片隅にでも置いて置けば良い!!問題はそんな小さなもんではないわっっ!

何処の誰と誰が何の"初めて"を経験したと!?いや待て、それ以前に、初めての一夜とは如何云う意味だ、初 めての一夜とは!!

「そんなに過剰に反応しなくても良いじゃないですか、スネイプ教授。」




…あぁ、この娘に付き合っていると秒単位で寿命が縮む。一度ひとたび反応する己がバカバカしいことこの上ない。そうだ、此処は一発大人の余裕とやらを見せ 付けてやろう、そうしよう、要はのペースに乗らなければ良いのだ。

とすれば膳は急げ、だ。


「…あー、。君の破滅的な思考回路が何を如何繋ぎ合わせて其の解答を導き出したかは知らぬが、事実無根の虚偽を捏造した場合、心苦しいが我が寮から 減点をせざるを得ぬ。」

「事実無根の虚偽捏造だなんて、人聞きの悪い。スネイプ教授があんなに熱く激しく人目を憚らずに寝静まった夜に来いと誘ったんじゃありませんか。」

ね?と、にっこりと微笑むは、スリザリン寮監督生。
あの引見根暗厭味教授と銘打たれるセブルス・スネイプに心からの微笑みを贈れるのはしか居ないだろう、と固唾を呑んで光景を見守る生徒一同は暗黙の 内に言い聞 かせる。
事態はかなり緊迫した空気に包まれ、スネイプに至っては、一触即発状態だ。



「…………誰が」
「スネイプ教授が」
「……………………誰を」
「名指しでスリザリン寮5年、を」
「……………………………何の用件で」

「そりゃあ勿論、こんな処では公言なんて到底出来ない私と貴方の夜の秘密の営みと 云う別名の、第5690回目のスリザリン寮監督生か・い・ぎ。
内容ですって?私と貴方の秘密を聞かせても宜しいんですの?あんな事やこんな事、あぁ、あんな行為やそんな言葉のあとに珍しい体位もしましたか。
…………………って……スネイプ教授、何真剣に"我輩の知らぬうちに我輩は何か遣ったのか!?"みたいな顔してるんですか?そんなアホな事があって良い訳 無いじゃないです か、いやだなぁもう、スリザリン寮監督生とスリザリン寮監督の月一のミーティングじゃないですか〜忘れてしまわれたのですか、教・授!」

「このっ…-----------------------ッ!今直ぐ貴様をこの場で新薬の実験台にしてくれよう かッ!!!!
そうだ、思い返してみれば、丁度死んでも構わぬ生身の実験台を探して居たところだったのだ、お前ならさぞかし良い実験結果を残して くれるだろうな!
脳細胞の活性化をはかり人を遺伝子レベルまで改造し構築しなおすのだ、貴様の其の人並み外れた序でに螺子も1億本程度外れた脳細胞も少し はまともな人間レベルにまで再生されるのではないか!?
あぁ!?如何だね、遣ってみるかねッッ!!!!」

湧き上がる怒りに任せて手に持った珈琲カップを割れんばかりの勢いで机の上に叩き付ければ、中の琥珀色した液体が僅かに零れ落ちては机を汚した。
だが一切合財構わず、およそホグワーツ教員には到底相応しくない態度で勢い良く椅子を蹴り上げ立ち上がると、ばんばんとテーブルを叩きながら豪語した。其 の度にミシミシと机に皹が入り、隣に置いたマクゴナガル教授の堪忍袋の緒もブチブチと切れ始めている。
いや其れよりも重大事態だ、大 変過ぎる、緊急事態だ、今にも我輩の脳内血管が全てぶち切れそうだ。




「あらあらスネイプ教授、そんなに目くじら立てて怒ってはいけませんよ?皺が増えてます、皺が。
唯でさえ皺が深くふかぁ〜く刻み込まれている眉間に更に深く皺が刻まれて戻らなくなりますよ?
もう、いい歳なんですから。ヒアルロン酸とかコエンザイムQ10とかちゃんと摂取してますか?」

「やかましいっ!余計な世話だ、要らぬ世話だ!この皺は元からだっっ!!」

「はいはい、幾ら叫んでも良いですがご近所迷惑と眉間の皺迷惑になってますよー」


普段ロングボトムを怒鳴る様な剣幕で怒涛の様に憤怒の言葉を並べようとも、怖がる素振りどころか悪びれた眼差し一つ見せず、が同情めいた顔で怒りに 震える我輩に敢えて見える様に机の上を叩く。ぽんぽんと、まるで駄々をこね る子供をあやすような仕草で。

何処までも舐めきれば気が済むのだ、冷徹無比なスリザリン寮監督と云われたこの我輩を愚弄するとは、、幾らスリザリン監督生と言えど許される筈も無い。

いや待て、そもそも誰がこの女をスリザリン寮監督生に推薦したのだ、一体誰が!!!


「(だ---------------------っ!!!!!)」


…泣ける事に、愚かに未だこの女の素性のすの字も知らなかった我輩だ、自分自身で仕出かした過ちを、誰を責める事が出来よう。思えば、この女程スリザリン 寮監督生に相応しい人間は居ない。
(我輩への態度を除いては)品行方正、才色兼備、頭脳明晰、容姿端麗、狡猾奸佞、学術に於いては学年主席、クィディッチのシーカーに劣らぬ巧みな箒術、恐 ろしい程に切れる頭脳。挙げればキリが無いほど良く出来た女なのだ。我輩に対する態度、仕打 ち、発言、言動、因縁、その他諸々を取り去れれば…っ!




あぁ、そうか、たった今理解した。
この娘がスリザリンに入る事さえなければ良かったのだ。
我輩の統治するスリザリン寮に入寮したから悪いのだ。
…とすれば、唯一責める事が出来るのは、この女をスリザリンに招き入れたボロ布同然の組分け帽子かっ!!


覚えておけ、ボロ布帽子。
捕れたての地獄の業火で焼いた後に糞爆弾投下後の排水溝に流してシュレッダーで藻屑にした後、永久的に魔法界から追放してくれる!!





「ところでスネイプ教授、一人で怒り心頭なのも結構ですが、これ、受け取っては下さりません?」
「ハッ!誰が受け取るか、そんな偽造捏造満載の羊皮紙なんざ!」

一巻きは在ろうかと云う羊皮紙を我輩の前でチラ付かせる様に左右に振りながら悪戯めいた微笑みを投げるに、呆れて溜息すら出ない。寧ろ、この娘の為 に吐いてやる溜息の方が勿体無いと云うものだ。
残念だったな、、貴様には我輩の溜息程の価値も無い。

「スネイプ教授が受け取って下さらないと云うことで、
では、、僭越ながら謹んで此処で詠唱させて頂きます。」
「なっ、貴様、冗談も程ほどに…っ!」

にっこりと悪魔の笑みを浮かべたから羊皮紙を引っ手繰ろうと手を伸ばせども、時既に遅く、我輩の手は無残にも空を掻いただけに終わる。
は嬉しそうにコホン、と一つ咳をすると、羊皮紙を巻き留めていた金具を外しひらりと端を床に垂らしながらおぞましいほど捏造満載の内容を詠唱した。






【監督生日誌 スリザリン寮5年:(15歳・乙女)】

○月×日 晴れ 時刻 PM9:05
---------------------------------------------------------------------------------------------------
監督生の業務を定刻に終了した後、魔法薬学研究室前廊下にて、魔法薬学教授セブルス・スネイプ氏(3X)と遭遇、強制的に拉致連行される。
(あぁ、如何しましょう、私、ついに…)


文章に可笑しい記載もあるが、そして妙なの心の声が鼓膜を掠めたりもしたが、が書いた監督生日誌ならば別段問題視する程の内容でも無いだろ う。寧ろ日頃のものに比べればまともな方だ。
寄る眉間の皺の数を増やす事無く現状維持の侭、スネ イプはうんうん、と短く返事をする様にの話に聞き入る。


「安心してください、教授!この先の文章に抜かりはありませんから。」
「…抜かり?何かね、文字が独りでに勝手に叫び出すとでも言うのか?」
「大丈夫、『ピー』入れるから」
「…ピー?ピーとはなんだ、ピーとは。」


訳も判らずの言葉を言い直す様に問い返すと、我輩の問いに答えること無く悪魔のような微笑みを絶やさずにゆっくりと一文字一文字大切な文字であるか のように読み上げていく。
何処ぞの舞台女優さながらの抑揚の在る感情籠った音程で、身振り手振りを交えながら、


○月×日 晴れ 時刻 PM9:15
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 魔法薬学研究室に連れ込まれた私を待っていたのは、冷えた一瞥を投げつつスネイプ氏(3X)にぶつけられた、半ば拒否権が無い強制的な科白。

「良いかね、。此の侭監督生で居たくば、 ローブを脱ぎたまえ。」
(え?スネイプ教授、ローブ脱げって…)
「誰が座って良いと言った?今日は立った侭するのだよ、判るかね、特別授業だ。」

ニヤリと口角を歪めたスネイプ氏(3X)は、自身の無駄にボタンの多い外套に手を掛けゆっくりと焦らす様に一つずつ解いていった。
外套を脱ぎ捨て首に引っ掛けた様に巻き付けられた黒のタイを忙しない手付きで毟り取ると、露になる体躯を隠す事無く、スネイプ氏(3X)はゆっくりと近付 くと、淡い孔雀緑の液体を無理矢理咽喉奥に流し込ませ、

「…お前とて、我輩の『ピー』が出来たら困るのではないのかね。」
「あぁ、切れるではないか、さぁ、酷いことに為りたくなければ我輩の『ピー』『ピー』して『ピー』したまえ」
「馬鹿者!もっと優しく『ピー』しないと『ピー』『ピーピーピーーーー』だろうが!」
「いいかね、この、、『ピー』を…


意気揚々と放送禁止用語に伏字を施して羊皮紙を朗読するの言葉を無言で聞いていた我輩は、漸くピーの意味と意図を理解すると、問答無用で杖を取り出 し間髪 居れずに羊皮 紙に焔を灯す。
ジ…と、墜星の様な残響がかそけく響いて、が手にした捏造満載の羊皮紙は燃え上がり、一片の欠片無く空に消えた。

ひらり、と舞うのは燃え滓と化した監督生日誌、其れを呆然と見詰るに、ほくそえむ我輩。



「あ-------------------------!何するんですか、何遣ってるんですか、まだ半分も読んでないの に何燃やしてるんですか!半日掛けて書いた監督 生日誌ですよっ!?」

「やかましい!よくもまぁこんな莫迦莫迦しい内容を半日も掛けて書いたものだ。
我がスリザリン寮監督生が聞いて厭きれるわ!良いか、良く聞け、朗読出来る位に暗記しろ、もし必要とあらばメモれ、寧ろ今直ぐ羽ペンと羊皮紙を取って来 い!
金輪際このような戯けた監督生日誌を書いてみろ、即刻ホグワーツから追い出してやる!
我輩は本気だぞ、今 回ばかりは大目になど見れぬ、例の… をお前が持っていようと最早関係ないわ!!
世の中にはオブリビエイトと云う素晴らしく低レベルだが高活用出来る魔法があるのだ、貴様の可笑しな記憶の捏造 くらい造作も無いわ!大体だな、日頃からお前の素行の悪さは………」

吐き出したら止まらぬ日頃の鬱憤を含ませながら吐き出せば、妙に周囲が静まり返り、珍しく無言でがこうべを垂れている。心なしか、生徒の同情染みた 視線さえも浴びているぞ、この娘は。
如何した、何が起きた?ついに改心したか?いや待て、普段はこの5倍の説教を垂れても咽喉で笑うような女だぞ?可笑しい、何かが可笑しい。


ふと、何の前兆無く非常に厭な汗が背を垂れた。例えるなら、気付かずドラゴンの子が居るべく巣で昼寝して目覚めたら母親ドラゴンと眼が合った様な、非常に 心 地悪い居た堪れない場違いも甚だしい雰囲気。
更に、右側後方より鋭利とは到底言い難い鉄の槍の様な視線が突き飛んでくる。何だ、この、やけに…

--------------------------------セブルス・スネイプ教授!!!!」
「な、なんでしょう、ミス マクゴナガル。我輩は未だ説教の途中……」


見れば、右側後方に居たマクゴナガルが左手にフォーク、右手にナイフを持つ手を戦慄かせ、怒髪の勢いで我輩を真っ直ぐに睨み上げている。あぁ、鉄の槍の正 体は此 れか、、、とそう云う問題ではない。
何故マクゴナガルが怒る、確かに我輩は怒鳴り散らしただろうし清々しい朝食の雰囲気を台無しにしたやもしれぬ、だが其れは一重にこの小娘の所為であって我 輩の責任ではない、、


「ミス が半日も掛けて書いた監督生日誌を問答無用で燃やし灰にするとは何事ですか!」
「なっ…、貴女も聞いておいででしょう、このアホ娘が書いた監督生日誌の内容を!寮監である我輩を愚弄しているとしか思えぬような偽造捏造大サービスの内 容である監督生日誌を態々半日も掛けて書いたのですぞ!?」
「スネイプ教授…、ミス が一生懸命書いた監督生日誌を偽造捏造大サービスとは何事です!よりも貴方の発言の方が愚弄していると私は思いますが。」
「ハッ!!我輩の何処が愚弄していると?監督生日誌の内容、貴女もお聞きになられたでしょう!?!」
「えぇ、聞きました。確かに聞きました、何でしたら再現して復唱して差し上げましょうか?」
「どうぞ、ご自由に」

出来るものなら遣ってみろ、如何に我輩を愚弄していたかが判るだろう。いや、そもそも「聞いていた」のならば何故に敢えてもう一度読む必要がある?そんな 必要性皆無だと云うに。


あぁそうか、我輩が如何に素晴らしいかをマクゴナガル自らが再証明してくれるのだな、まこと、有り難い。


そう悠長に構える。
灰と化した監督生日誌を燃え上がる前の完全な状態にまで戻したマクゴナガルは、コホン、と一つ咳をし、我輩を例の鉄の槍の様な視線で射抜 く。
ふん、どうせ泣きを見るのはお前のほうだ、と心の中で一人ごちで視線を横に流した瞬間厭なものを見た。


こうべを垂れているが確かに一瞬、口元に深く邪な色合い滲む笑みを刻んだ。


まさか、直感的に悟った冷えた汗の本当の正体とは…


ごくり、と生唾を飲み込む音がやけに大きく脳裏に響き渡る。









【監督生日誌 スリザリン寮5年、(15歳・乙女)】

○月×日 晴れ 時刻 PM9:05
---------------------------------------------------------------------------------------------------
監督生の業務を定刻に終了した後、魔法薬学研究室前廊下にて、魔法薬学教授セブルス・スネイプ氏(3X)遭遇 お 会いし、強制的に拉致連行される。 共に監督生業務を行う。
(あぁ、如何しましょう、私、つい に…)


スネイプ脳内怒り指数120経過。


○月×日 晴れ 時刻 PM9:15
---------------------------------------------------------------------------------------------------
魔法薬学研究室に連れ込まれた で私達を待っていたのは、冷えた一瞥を投げつつスネイプ氏(3X)にぶつけられた、半ば拒否権が無い 強制的な科白。 某悪戯好きの男子生徒が仕掛けた"黒に誘発されて爆発する"起爆装置付きの糞爆弾(浮遊バージョン)。

「良いかね、。此の侭監督生で 糞に塗れず居たくば、 ローブを脱ぎたまえ。」
(え?スネイプ教授、ローブ脱げっ て…)
「誰が座って良いと言った?糞爆弾をくらいたいのか?今日は立った侭するのだよ、 先にコイツ等の処理だ、判るかね、糞爆弾処理の特別授業だ。」

ニヤリと口角を歪めたスネイプ氏(3X) 教授は、自身の無駄にボタンの多い外套に手を掛けゆっくりと焦らす様に一 つずつ解いていった。
時速20Kmで急降下し始めた糞爆弾に、外套を脱ぎ捨て首に引っ掛けた様に巻き付けられた黒のタイを忙しない手付きで毟り取ると、露 になる体躯を隠す事無く、スネイプ氏(3X) 教授はゆっくりと近付 くと、淡い孔雀緑の液体を無理矢理咽喉奥に流し込ませ、 手渡し、

「…お前とて、我輩『ピー』 に向かってきた糞爆弾が破裂し が出来 たら困るのではないのかね。」
「あぁ、切れる 塗れるではないか、さぁ、酷いことに為りたくなければ我輩の『ピー』 白衣を『ピー』 被って『ピー』 避難したまえ」
「馬鹿者!もっと優しく 『ピー』 処理しないと 『ピー』 接触で 『ピーピーピーーーー』 糞爆弾が大爆発して大惨事だろうが!」
「いいかね、この、、 『ピー』 我輩が考案した『糞爆弾誘発装置』を…


スネイプの脳内怒り指数、、、、測定不能。


「これの何処を如何読んだら貴方を愚弄している監督生日誌になるのですか!!
確かに、監督生の仕事内容に糞爆弾処理は含まれて居ませんが、此れで一日潰れたのだと すればこう云う内容の監督生日誌に為るのは仕方の無い事では?
いえ、其れより普段の監督生業務を放り出してまで(自分に降りかかるかも知れない危険を冒しながらの)寮監督と共に糞爆弾と戦う心意気、私は感動しまし た、実に素晴らしい監督生ではないですか!
…それを貴方は1ミリも認めもせずに監督生日誌を一瞬で燃やし、天津さえミス を退学処分になど…貴方の思考回路が全く持って意味不明です!
貴方が認めても、私が許しませんよ、スネイプ教授。ミス は今後もスリザリン寮の監督生を務めて貰います。彼女に非はありません、寧ろ有るなら貴方に、です!!良いですか、スネイプ教授、判りましたね?」

ギロリと大きな瞳で睨み付けられ、拒否の言葉は許さぬとばかりに問答無用で言い放ったマクゴナガルから今にもナイフとフォークが飛んで来そうだ。
背を駆けずり落ちた不快な汗の正体は此れだったか。そうだ、よく良く考えても見れば、あのが自ら墓穴を掘る様な事がある訳が無かろうに。如何して気 付かなかったのだ、我輩の腑抜け…っ!


「では、今後は注意して下さいね、スネイプ教授。さぁ、ミス も面を上げて食事の続きをしなさい。」
「はい、マクゴナガル教授。では、失礼致します。あ、スネイプ教授、監督生日誌は承認印を押して頂けましたら何時もの場所において置いて頂けませんでしょ うか。」
「………あぁ」
「では、失礼致します。」


あぁやっと前代未聞規模の巨大台風が去ってくれる。
マクゴナガルを筆頭に、様々な人間に大いなる誤解を招いて居るだろうが最早そんな事は如何でも良い。
我輩は一刻も早く食事を切り上げ自室に帰って監督生日 誌に印を付いたら今週末に魔法省に提出する論文の構想を練らねばならぬのだ。こんなアホみたいな茶番劇に付き合っている暇など最初から無いのだ。
あぁ、思 えば、今朝の数十分が無駄だ、時間の無駄浪費だ、これ以上付き合えば更に時間の無駄浪費になる、無視だ、水に流せ、何も無かった事にしよう、大人になれ、 我輩!!!


そう思い込む様に言い聞かせれば、先程までの怒り心頭の心地は清々しい朝陽と共に消え去ったかのよう。今まで聞えてこなかった、早春の涼風に紛れるように 庭草の間から鳥の鳴く声までが漏れ流れる。梟便に混じって季節の香を乗せた微風が時折、大聖堂に齎され、空気をそっと揺らす。
あぁ、此れこそが清々しいブレイクファーストというものだ。

そんな時、


慇懃無礼に一礼したが去り際、ゆっくりと大きく口を開き、桜色の花弁を押し付けた様な綺麗な唇で音を発せずに音を伴わない言葉で呟く。
耳を欹てても聞こえぬ音。
一体何と言っているのだ、双眸凝視して見遣れば、


ゴ・シ・ュ・ウ・シ・ョ・ウ・サ・マ。


「だっ、誰の所為だと思っているのかね!貴様が余計な魔法を我輩に………
-----------------もしや貴様、昨日我輩の部屋から出て行く際に先日の魔法薬学の講義の際に 教授した【一定時間ある人物の言葉が特定の人物にのみ誤変換され脳髄に届く催眠薬草】を使ったな!?
あれは間違っても講義以外で使用するな、と堅く言った筈だが!?
いや、問題は其処ではない、其れも問題であるがそれ以前に、また勝手に我輩の薬草コレクションから勝手に薬草を使ったな----------------っ!!!」

「あらスネイプ教授、一体何を根拠に私に濡れ衣を…?証拠はあるんですか?証拠。」

「アホ抜かせ、貴様が証拠を残す程頭脳指数が悪ければ、とおの昔にとっ捕まえて退学処分にしておるわ!証拠などある訳が無かろう、証拠が必要な意味が判ら ん。
我輩の身辺で何か物が紛失していたり入れ替えられていたり増大していたり…兎に角、何か変化があるとすれば、それは全てお前の仕業に決まっている!
あの薬草を手に入れる為に我輩がどれだけ苦労したか知っているのかね!?絶対零度の氷の山を登り龍の背に乗らねば届かぬ馬鹿みたいに高い木の上に一株しか 生えていないのだぞ!?其れを、貴様…っ!」

踵返しかけたの腕を掴み上げようと一歩前に躍り出た瞬間、眼から怒り光線を噴出させているマクゴナガルが我輩のローブの裾を思い切り踏み付ける。
転びはしなかったものの、前のめりに為る形で静止させられ、流石の我輩も脳内の毛細血管までぶちきれそうだ。

双眸を鋭利にした侭、何か文句があるか、と顧みれば、


「いい加減にしなさい!!!!貴方一体幾つです?が先ほどから眼に涙を浮かべているではありませんか!此れで免罪だったら如何責任取るおつもりです か!
折角の清々しい朝食が台無しです!少しでも悪いと思う心がありましたら黙って朝食を食べてくださいな!」


母親が子どもを叱るような剣幕で言葉を並べたマクゴナガルは言うだけ言ってスッキリしたのか、踏締めていた我輩のローブから靴底を退けると、朝食を再開さ せようと席に着く。
そうだ、我輩もこんな事をしている場合ではないのだ。論文が待っている、魔法薬学が待っている、活字が我輩を呼んでいる…!

大人に為る、と誓ったばかりではないか、いい加減我輩も朝食を済ませ………


「スネイプ教授、、、(ベーだ)」

に呼ばれ反射的に振り返れば、か細い指を下瞼に貼り付けぐぃと下方に押し下げると、桜色の唇から珊瑚色の下をべーっと出してみせる。…それも、小さ な子どもが嫌いな大人にそうするよう、首から上を突き出した状態で。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ(怒)!!!!!!!!!!!!!!!」
「セブルス・スネイプっ!!!!!!!」


後方から即座に飛ぶマクゴナガルの怒声。
の姿は既に其処には無く、我輩が独り晒し者の様に長テーブルのど真ん中で怒りに戦慄いていた。
それからマッハで朝食を食べ終え、脱兎の如く魔法薬学研究室に舞い戻っては厭な仕事はさっさと済ませるに限る、との書いた監督生日誌に印を押そうと 再び開いて、








【監督生日誌 スリザリン寮5年:(15歳・乙女)】

○月×日 晴れ 時刻 PM10:05
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因みにこの日誌、スネイプ教授が開いて最後まで読み終わると強制的に自爆する仕組みになってまっす★

残念、仕事ラブなスネイプ教授なら絶対にここまで読んでくれてますよね、あはは、天誅!!




ドゴォォォォォォォォッッッッッッッ!と云うダイナマイトが大爆発したような壮大な音と共に監督生日誌が爆発し、焼け焦げたスネイプ教授がチリチリの髪の 毛を天井にも届かん勢いで逆立て、の名を大連呼していた事は誰も知らない。


























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